自動車ショーの会場で発表される各メーカーのコンセプトカー。そんなコンセプトカーから誕生した市販車が、予想を超える成功を収めたケースは少なくない。では、いったいどんな成功例があるのだろうか?
文:長谷川 敦/写真:トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、CarWp.com
【画像ギャラリー】夢をカタチにした市販モデルたち(19枚)画像ギャラリー新型プレリュードで再注目! コンセプトカーの存在理由とは?
ついに市販が開始されたホンダの新型プレリュード。このモデルは、ジャパンモビリティショー2023で公開されたプレリュードコンセプトの市販バージョンであり、コンセプトカーの発表から市販前提であるとウワサされていた。
プレリュードの場合は市販モデルにかなり近いスタイルのコンセプトカーが公開されたが、これまで発表されてきた数多くのコンセプトカーのなかには、特異な技術やスタイリングなどで、市販モデルが想像できないものもあった。
つまり、ひと言でコンセプトカーといってもその内容は千差万別。
メーカーが市場の反応を探るためのコンセプトカーもあれば、先端技術の表現媒体として誕生するコンセプトカーもある。
今回紹介していくのは、いずれもコンセプトカーから市販に移されたクルマたちであり、夢を現実に変えて成功した好例といえるものだ。
1995年の東京モーターショーで登場した2台のコンセプトカー
●トヨタ プリウス
1995年秋の第31回東京モーターショーにトヨタから出品されたコンセプトカーは、その後の自動車技術を大きく変化させる転換点になった。
「プリウスコンセプト」と命名されたそのモデルは、従来のガソリンエンジン(内燃機関)に加えて蓄電装置と電動モーターを装備し、双方の力で走行する新世代のパワーユニットを搭載していた。
そう、これが後に世界初の量産型ハイブリッドカー・プリウスとして市販され、自動車の低燃費化を大きく促進させることになるクルマだった。
プリウスコンセプトの蓄電装置はキャパシターで、市販時にはこれが充電式バッテリーになるなどの変更はあったものの、市販型初代プリウスが大ヒットモデルなる礎となったのは間違いない。
1997年に初代モデルの市販が開始されたプリウスも現在は5代目へと進化し、ハイブリッドカーの最先端を走り続けている。
●マツダ デミオ
プリウスコンセプトが出品された1995年秋の東京モーターショーでは、マツダのブースにも一台のコンセプトカーが展示されていた。
そのクルマの名前は「BU-X」。コンセプトカーであるにもかかわらず、そのまま市販できそうなほどの高い完成度が際立っていた。
実際にBU-Xの市販化はモーターショーの時点で決定していたようで、翌1996年にはこのBU-Xが「デミオ」の名で発売された。
当時のマツダは販売店5チャンネル化の失敗やバブル景気崩壊の影響もあって経営危機にあり、ヒット車を生み出すことが必須の課題であった。
そこに登場したコンパクトカーのデミオは、クラスを超えたスペースユーティリティの高さをウリにしていて、これがバブル時代の豪華さから実用性重視に変化していた市場にフィットし、好調なセールスを記録した。
デミオのヒットによりマツダは経営危機から脱することができたため、同車は「マツダの救世主」とも呼ばれるようになった。
現在のデミオはマツダの世界統一車名であるマツダ2を名乗っているものの、コンパクトカー市場に完全に定着している。






















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