年々クルマは安全に……でも65歳以上の死亡者数は増加! 交通死亡事故の抑制に今必要なこととは?

年々クルマは安全に……でも65歳以上の死亡者数は増加! 交通死亡事故の抑制に今必要なこととは?

 警察庁の統計では、2025年1月から6月の交通事故死亡者数は前年同期比で21人減の1161人。ところが、2021年からの減少率は鈍く、死亡者数はほぼ横ばい。ここから死者を減らすにはどのような対策が必要だろうか。国沢光宏氏に伺った。

※本稿は2025年9月のものです
文:国沢光宏/写真:警察庁、ホンダ
初出:『ベストカー』2025年10月26日号

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交通事故死亡者数を減らすためには

交通事故死者数の推移(出典:警察庁「令和7年上半期における交通死亡事故の発生状況」)
交通事故死者数の推移(出典:警察庁「令和7年上半期における交通死亡事故の発生状況」)

 警察庁によれば2025年1月から6月の死者数は1161人となり、前年同期比21人減とのこと。ただ、2021年に半期で1200人を下回ってからの減少率は頭打ちになっている。

 ここから減らそうとすれば、どんな対策が必要なのだろうか? 常識的に考えれば、一番死者数の多いところから手を打っていくべきだと思う。この手のデータ、ベストカーでもあまり紹介していない。

 ということでワースト3を上げると、1位は65歳以上の歩行者(289人)。2位は65歳以上の自動車運転中(222人)。3位は65歳以上の自転車(97人)。

 三つの事故形態だけで608人になり、半数以上を占める。そればかりか65歳以上の死亡事故についていえば増加傾向。現在76歳~78歳のいわゆる『団塊の世代』の先輩方は人口比率も多いため、さらに増えていくことが予想される。

 詳しく見ていくと、歩行中の事故の129人は横断歩道以外。渋滞中に左右の確認をせず飛び出したり、無謀なタイミング&安全確認しないでの道路横断が目立つ。

 また、運転中の事故は75歳以上だと車両単独での自損事故42%という高い確率だったりする。前者についていえば身も蓋もない表現ながら「いかんともしがたい」。後者も安全性能が低い旧型車で多発する傾向とか。

 一方、警察の取り締まりを調べると、1位は一時停止違反。2位は速度違反。3位は通行禁止違反。4位は信号無視。5位は携帯電話であり、取り締まりやすい違反のみ。死亡事故を減らす目的といえない。

 むしろ二輪車と自転車の死亡事故死者344人を減らすことから着手すべきだと思う。そういった意味では2026年4月から反則切符制度を導入する自転車の事故防止策が唯一効果あるかもしれない。

 また、高速道路の死亡事故件数は2015年の109人から、2025年は62人で減少傾向にある。この10年でADASの装着率が大幅に向上するなどしたためだろう。

 今後も大型車のADAS比率が増えることで減少していく可能性大。このタイプの事故は車両側の安全性向上で対応していける。自動車業界側で対応できる事故防止策はキッチリ効果を発揮してます。

 どうすべきか? このあたりで警察は事故防止の方策を大きく変える必要がある。

 基本的にはADAS付きを増やすということ。具体的には75歳以上の高齢者に、高い性能を持つADAS付き車の条件を付ける。歩行者の事故を確実に減少させられるだろう。

 自転車については自動車以上に取り締まりを厳しく。若い層も高齢者も外国人も、反則切符を切られれば少しは効果あると思う。

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