中国の自動車メーカーの勢いがウソのように止まっている。大手6社のうち、なんとか黒字を確保したのは最大手のBYDのみ。そのBYDも月によっては減益という寂しい状況。これを打開するため、中国メーカーが選択した「次の一手」は!?
※本稿は2025年9月のものです
文:角田伸幸/写真:BYD ほか
初出:『ベストカー』2025年10月26日号
破竹の勢いはどこへ? 中国メーカーが急減速
急成長を続けてきた中国の自動車メーカーが、一転厳しい状況に陥っている。
各社の2025年1~6月期の決算を一覧してみると、BYD、吉利、長城、上海、東風、広州という大手6社のうち5社が最終減益か赤字に転落し、勢いにブレーキがかかった。
唯一黒字を確保したのは最大手BYDだが、純利益は155億元(約3200億円)で前年同期比14%増にとどまり、前年の24%増から伸び率は鈍化。しかも4~6月期に限れば3割の減益で、これまでの破竹の勢いはない。
BYDは販売台数こそ214万台と3割増えたものの、平均車両単価が14万2000元とわずかに下がり、儲けを押し下げた。
国内市場の厳しさは8月の販売動向にも表れ、新車販売は37万3626台で前年同月比0.1%増とほぼ横ばい。特にプラグインハイブリッドは5カ月連続で前年割れし、需要が一巡していることをうかがわせる。
こうした状況を打破しようと中国メーカーが積極的な動きに出ているのが、海外進出だ。
BYDの1~8月累計販売は286万3876台で前年同期比23%増だが、そのうち海外販売は2.5倍に膨らみ、国内の伸び悩みを補完する構図が鮮明になった。かつては国内での販売力に頼っていた同社だが、今では輸出が成長の重要な柱となりつつある。
今後は東南アジアや欧州を舞台に中国勢の輸出攻勢がさらに加速するのは間違いない。これらの地域は日本車が苦労の末に築いた重要市場だが、攻勢を許せばシェアを奪われかねない。
BYDに続き、吉利の日本上陸も噂される昨今、クルマをめぐる国際的な主導権争いは、新たな局面に突入しようとしている。


















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