JAF(日本自動車連盟)が2024年に行った全国調査によると、信号機が設置されていない横断歩道において、歩行者が渡ろうとしている場面でのクルマの一時停止率は、全国平均で53.0%。2023年の調査では45.1%だったので大きく上昇はしているものの、依然として2台に1台は止まっていないという結果となりました。
いまも2台に1台しか止まらないという事実も驚きですが、さらに注目すべきは都道府県による差の大きさです。長野県では87.0%のドライバーがきちんと停止している一方で、東京都ではたった38.7%。半分以下の結果です。同じ日本なのに、なぜここまで違うのでしょうか。
文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_Dieter Hawlan/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】なんでこんなに違うの…?信号のない横断歩道で「一時停止」しない県とする県の違い(7枚)画像ギャラリーデータが語る「止まる県」「止まらない県」
JAFが実施した「信号機のない横断歩道における歩行者優先実態調査」は、2016年から毎年行われているもので、全国47都道府県計94か所(各都道府県に2か所ずつ)の信号機が設置されていない横断歩道を対象に、1か所50回の横断に対し、当該横断歩道を通過しようとするクルマを観察したもの。調査が行われたのは平日で、時間帯は10時から16時です。
2024年の調査では、全国で6,647台が対象となりましたが、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止したのは、このうち3,525台で割合にすると53.0%。2023年の調査では45.1%だったので、7.9ポイントも上昇していますが、依然として約半数のクルマが、歩行者が渡ろうとしているのに一時停止をしないという結果となりました。
都道府県別では、長野県がもっとも高くて87.0%、2位が石川県(80.9%)、3位が岐阜県(75.2%)と上位県では高い停止率であった一方、もっとも低かった富山県(31.6%)では約3割しか止まっていない、という結果に。東京都も38.7%と約4割しか停止していませんでした。
参考:JAF「信号機のない横断歩道における歩行者優先実態調査 2024」

長野県はなぜ止まる? 「歩行者がいたら停止」が文化として根づく理由
同じ法律のもとで運転しているのに、なぜこれほどまでに違いがあるのか。そこには、教育・環境・地域文化の積み重ねがあるようです。
長野県では、横断歩道で止まってくれたドライバーに、子どもがお辞儀をして「ありがとう」を伝える習慣が定着しています。地域の自主的な文化として根付いており、上級生が下級生に受け継ぐ伝統となっているようです。
横断歩道でクルマが止まるのは、道路交通法で定められたドライバーの義務ですので、子どもが「ありがとう」という必要はないといえばそうなのですが、挨拶文化があることで、子どものころから横断歩道でのルールを自然と意識し、将来ドライバー側になったときに、自然と止まることができるようになる、という仕組みがあるようです。
長野県警としても、運転免許更新講習や企業・団体への出張講習など、あらゆる機会で「信号機のない横断歩道での歩行者保護」を教育しているほか、歩行者妨害の取り締まりも強化。また、標識外周にLEDを配置し、夜間に点滅させることで、ドライバーに横断歩道の存在を知らせる標識も独自に取り入れるなど、ドライバーが「止まりやすい環境」の整備を進めています。
こうした取り組みの積み重ねによって、長野県では「歩行者が立っていたら止まる」ことが文化として根づき、全国平均を大きく上回る停止率を維持しているようです。









コメント
コメントの使い方ただ単に取り締まりが厳しかったからでは?
東京などの大都市はその周辺から流入してくる人や車が殆どなので「生粋の東京人(運転手)」のデーターでは無いです。あくまでも「東京都内の道路で調べた」結果でしょう。
対して地方は当然地元民が多いでしょうから「道路調査=地元住民調査」となると思います。