東京モーターショーの長い歴史の中では、後世までの語り草となるほどの強烈個性を持った迷車珍車も出現した。ここでは東京モーターショーの歴史を見てきた3人の自動車評論家が選んだ「一番の迷コンセプトカー」をご紹介しよう!!
※本稿は2025年10月のものです
文:片岡英明、渡辺陽一郎、清水草一/写真:日産、ホンダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年11月10日号
片岡英明氏が選ぶ迷コンセプトカー……日産 JIKOO(2003年)
2003年の東京モーターショーには多くのオープンカーが参考出品された。驚かされたのは日産がサプライズで和風美人を乗せて登場させたJIKOO(ジクウ)である。
日産にとって創立70周年の節目の年だったが、理解できないのは江戸開府400年を無理やりこじつけたことだ。
外観はダットサン ロードスターをモチーフにデザインしているが、徳川家の家紋である三つ葉葵のホイールや銀職人の技法を駆使したフェンダー、江戸ナビなど、理解不能だった。
伝統の「ダットサン」ブランドを復活させる期待も抱いたが、これも音沙汰なし。
渡辺陽一郎氏が選ぶ迷コンセプトカー……日産 セドリック スチームエンジン(1975年)
昭和50年排出ガス規制が1975年に施行され、新車の動力性能は大幅に下がり、大半のツインカムエンジンも廃止されて実用燃費も大幅に悪化した。新型車の発売も滞った。
このさなかに開催された第21回東京モーターショーで注目したのは、230型セドリックのボディに搭載していた蒸気エンジンだ。
蒸気の力でピストンを動かす蒸気機関は、始動性に課題があったと思うが、低速で28kgmのトルクを発生させた。何でも燃やせる低質多種燃料も特徴だ。
最近はマルチパスウェイと偉そうに言われるが、さまざまな可能性の追求は、50年前にも行われていた。
清水草一氏が選ぶ迷コンセプトカー……ホンダ 不夜城(1999年)
なんと言っても激烈なインパクトだったのが、1999年のホンダ「不夜城」だ。あれを超える奇天烈コンセプトカーは、地球が滅亡するまで生まれないんじゃないか?
当時はまだ「スポーツカー命」的な価値観だったので、ものすごい嫌悪感や「こんなの市販化されるわけないじゃん」という怒りに近い感情が湧きましたが、今見ると、先進的すぎてオレがついていけなかっただけなのがよくわかる。カッコいいよね不夜城!
スーパーハイトワゴンの隆盛を予言していた部分もある。さすがに「クラブ感覚」は実現してないけど。











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