東京モーターショーの歴史に残る「迷」コンセプトカー。興味深いのは、誰かにとっての「迷車」は、ほかの誰かにとっての「名車」にもなりうるということだ。3人の自動車評論家が選んだ「迷車と名車」紙一重カーをご紹介しよう!!
※本稿は2025年10月のものです
文:島崎七生人、岡本幸一郎、西川昇吾/写真:トヨタ、日産、ホンダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年11月10日号
島崎七生人氏が選ぶ迷コンセプトカー……トヨタ KIKAI(2015年)
見た時には“ハウルの動く城”か“チキチキマシン猛レース”に出てくるマシンか!? と思った。
今風に言えば“クルマの構造の見える化”なワケだが、トヨタの資料にあった“メカ-キャビン-メカのモジュール構造”との大真面目な解説すら、ずっと以前、所ジョージがサンドイッチのことを「パン-具-パン」と言っていたのを連想させて笑えた。
クルマでいうと、外板を剥ぎ取った往年のフォードのデュースクーペ風。“モノに触れる暮らしの喜びの発見”がコンセプトだったらしいが、ガジェット好きにはササった?
岡本幸一郎氏が選ぶ迷コンセプトカー……日産 ピボ(2005年)
初めて見た時に、見た目はなんじゃこりゃ!? と思ったけど、中身は画期的だと感じた。
まず、キャビンとプラットフォームがバイワイヤ技術を駆使して切り離されているから、キャビンを360度グルリと回転させることができるのに驚いた。だからバックする必要がない。
それに左右輪を独立して制御できるスーパーモーターを前後に搭載しているから、狭い場所でも自由自在に動けるのも素晴らしい。
これが本当に実用化されたら超便利で革新的だと思うけど、いつかそんな日はやって来るのだろうか……。
西川昇吾氏が選ぶ迷コンセプトカー……ホンダ プロジェクト2&4 powered by RC213V(2015年)
個人的には「迷」ではないが「絶対に市販化されないけど、ワクワクする!」と当時高校生の筆者の心を奪ったコンセプトカーがこのクルマだ。
超軽量な車体に競技用バイクエンジンを搭載したそのパッケージは、「えっ、ホンダもケータハムとかロケットみたいなクルマ作っちゃうかも?」と妄想させられたものだ。
そして何より実車を見て印象的だったのが、装着されたスポーツタイヤが走行後のもので、タイヤカスが付いていたこと。実際に走行可能なことと、走りを楽しんでいるホンダ開発陣を想像し、よりワクワクした。



















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