重要なのは制御の熟練度向上にあり
モーターは出力を増大し、これに組み合わせる内燃機関は2リッター級のディーゼルターボが理想的だ。低回転から高トルクを発生し、モーターとの相乗効果でSUVに求められる牽引力や悪路走破力を確保する。
さらに、パワートレーンは縦置きレイアウトとし、メカニカル4WDを組み合わせる。電子制御によるオンデマンドAWDも制御次第では悪くないが、本格クロカン系SUVには伝統的な機械式が持つ信頼性とダイレクト感が不可欠だ。
そこにモーターの緻密な制御を重ねれば、従来の内燃SUVを凌駕する駆動力特性が得られるはずである。
現行ラングラーPHEVで特筆すべきは、ZF製8速ATとの絶妙な組み合わせだ。ガソリンターボエンジンながらモーターのトルクを滑らかに繋ぎ、加減速に違和感がない。Dレンジで流していると、内燃機関とモーターの切り替わりに気づかないほど自然だ。
これは、単なるスペック以上にキャリブレーション技術の高さを物語っている。次世代機においても、こうした制御の熟成度をさらに高めることが重要だ。トルクの繋がりにわずかな段差が残る領域を消し込み、回生制御との調和を図ることで走行フィールは飛躍的に向上する。
PHEVに高価な急速充電は果たして必要か?
充電に関していうと、PHEV車に急速充電システムを搭載する必要性があるのか懐疑的である。SUVユーザーが長距離移動を頻繁に行うとはいえ、現実的には家庭用200Vでの充電が大半を占める。むしろ重要なのは、エンジンによるチャージモードの進化だ。
具体的には、3リッター程度の燃料消費で走行中に短時間でフルチャージを可能とするシステムを構築したい。これにより、EV走行モードの実用性、汎用性は大幅に向上する。現行のほとんどのPHEV車はチャージモードを備えているので、高価な急速充電機能を搭載する必要が本当にあるのか。
山岳地、山奥など僻地に急速充電施設が満遍なく設置されない限りその必要性は特にクロカンSUVのPHEVには必要ない。実際、ラングラーPHEVは未装備でコスト高騰を抑え、トラブル回避にも貢献させる。
さらに、バッテリー充放電サイクルを最適化することでバッテリー劣化を抑制し、寿命を延ばすことがコストのかさむバッテリー交換頻度を減らし、ユーザーだけでなくメーカーにとっても大きなメリットとなるのはBEVと同様だ。
走りを自在にドライバーが選べるならなおよし
もう一つ重要なのは、ドライバーインターフェースの在り方である。現行PHEVの多くは、モード切り替えがコンソール上のボタンに限られている。理想的にはステアリング上でEVモード、バッテリーセーブ、チャージモードを瞬時に切り替えられる操作系が備わる事を望む。
同様に、回生ブレーキの強度やコースティング領域もパドルやステアリングで調整できれば理想的だ。
これにより、ワインディングでワンペダルによりペダル踏み替え時間をなくし瞬時で減速回生することで積極的に荷重移動を使いこなす走り、高速巡航でコースティングさせ効率を重視する走り、街中で快適なトルク特性を引き出し信号のストップ&ゴーでもストレスを感じさせない走り、などを自在にドライバーが選び取れる。



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