新鋭マツダ4WDの美点は「効率とトータルコスト」
そこでマツダだが、マツダの4WDは1種類しかない。しかもエンジン&トランスミッション横置きのFF(=前輪駆動)ベースで、電子制御の多板クラッチを採用した4WD。
これにマツダの特許技術であるGVC(Gベクタリングコントロール)との協調を行い、コーナーへのターンインではわずかにエンジントルクを下げてフロント荷重を増し旋回応答性を上げる。
さらに、コーナリング中はステアリングの切り角に応じてリアへのトルクを増してアンダーステアを軽減。コーナー出口ではGVCプラスによってスムーズにステアリングを戻しをアシスト。出口で起こりがちなリヤの巻き込みを予防アシストする。
これも雪上で試したのだがGVC有りと無しとではスラロームなど驚くほどの差が出た。
マツダ4WDシステムの特徴はたった1種類しかないが、4WDを必要としない直進時でもわずかにリアに駆動を与えておきスリップを感知したり、予測可能な状況において電子制御によって素早く効率よく4WDのメリットを発揮する点だ。
FFベースの車両はフロント荷重が大きく最終的にアンダーステアになりがちだが、スペック上のデメリットを電子制御で効率よく克服している点にコストを含めた優がある。
トヨタ RAV4の4WDは「雪道でも狙ったラインで自然に曲がる」
さて次はトヨタ RAV4だ。こちらは標準装備の「ダイナミックコントロール4WD」、新開発の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」、ハイブリッド車用の「E-Four」と3種類の4WDがある。
ハイブリッド用のE-Fourは後輪駆動用のモータートルクを約30%アップさせたことで、従来のものよりも大幅にリアの応答性と駆動感が上がりプロペラシャフトで繋がる4WDのようなダイレクト感が増した。
北海道士別テストコースでの雪上試乗ではトラコンをOFFにするとドリフトが楽しめたほどだ。標準の4WDはこれまであったセンターデフにビスカスカップリングを採用したもので信頼性は高い。
ただし、注目は「アドベンチャー」グレードに採用される「ダイナミックトルクベクタリングAWD」(ガソリン車専用)。リアデフを廃し、左右にカップリングを採用することで、後輪の左右駆動配分を100~0までコントロールできるという、いわば“Eデフ”のような作動を行える。
気温上昇により雪質がかなり緩んだ状態だと各輪の空転率も高くなるが、空転するとトラコン介入によって加速が鈍るもの。しかし、4輪がしっかりと雪を掻いているのでトラコン介入も少なく加速する。
さらに、コーナーではE-Four同様に操舵角も少なく、緩んだ雪質とはいえかなり狙ったライン取りができたのだ。機械的に作り上げたベクタリング効果を実感する、と言いたいところだが、実はとても自然なフィーリングでコーナリングできる。
また、走行路面に合わせてモードを設定する「マルチテレインセレクト」を“MUD&SAND”に設定するとトラコンがOFFになり、より曲がることにダイレクトなハンドリングになる。
このマルチテレインセレクトは、ダイナミックトルクベクタリングAWDに装備されていて、オフロードを走る楽しみを提案してくれる。ちょっとレンジローバーのようだ。
さらに、ダイナミックトルクベクタリングAWDには負荷の小さいFFモードの場合、フロントもリアもプロペラシャフトと完全に切り離し回転抵抗を低減させて燃費を節約する。
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