走行距離税なんて言語道断!! 乗らない人が大幅に増加する!? でもクルマは走らないと逆に調子を崩す!!! 長持ちさせるには走らないとダメな理由

走行距離税なんて言語道断!! 乗らない人が大幅に増加する!? でもクルマは走らないと逆に調子を崩す!!! 長持ちさせるには走らないとダメな理由

 クルマは走ってナンボ! もし走行距離税を採用したらますますクルマに乗らなくなってしまう……。もしそんなことになったら、クルマは走らないと逆に調子を崩すというのをご存じだろうか? ということで、クルマを走らせないと生じる劣化について徹底解説する。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Kesuku@Adobe Stock)

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乗らなくてもエンジンオイルは劣化する

エンジンオイルは走っていなくても長期間置きっぱなしでも劣化する。(eleonimages@Adobe Stock)
エンジンオイルは走っていなくても長期間置きっぱなしでも劣化する。(eleonimages@Adobe Stock)

 2025年11月12日の参議院予算委員会で、国民民主党の榛葉幹事長が「ヘリコプターを買っても消費税だけなのに、クルマにだけ9種類も税金かかり、9兆円にものぼる」と指摘したうえで、片山さつき財務大臣に、「走行距離税やりませんよね?」と質問した。

 片山さつき財務大臣は「クルマは走るもの。具体的に走行距離税は考えておりません」と答弁。そう、クルマは走ってナンボなのです。そして、クルマを走らせないとかえって劣化が生じることもあるのです。

 さまざまなパーツの集合体であるクルマで、長期間の放置プレーは致命的。数え切れないほどの摺動面が存在するからだ。しかも、経年劣化するゴム・樹脂パーツも各部に大量に使われている。このため、走行距離が短かったとしても、年数が経過すれば確実に劣化は進行する。

 メンテナンスを怠れば、さらにコンディションは悪化してしまうため「距離を走っていないからコンディションがよい」とは、単純に判断することはできないのだ。

 まずエンジンオイル。長期間、動かすことなく駐車しておくと潤滑を必要とする摺動面から流れ落ちてしまうため、エンジンの回りが重くなり、無理に回せば摺動面を傷つけることも。駐車環境によってはサビてしまうこともある。

 エンジンやミッションのように潤滑のためのオイルがケース内に貯められた部位から、クランクシャフトやドライブシャフトといった回転軸が引き出されている部分には、オイルが漏れ出すのを防止するゴム製のシール(オイルシール)が組み付けられている。

 このゴムシールも熱が加わり、かつシャフトの回転によって揉まれることで柔軟性を維持しているため、冷えた状態で長期間、動かさずに置いておくと硬化してオイル漏れを起こしやすくなる。

 しかし、半年や1年といった長期間となると話は別。「半年以上」乗らずに放置は極力、避けたい。特に、駐車場所が雨ざらしの屋外で、さらに路面が湿気のこもりやすい未舗だった場合、注意が必要だ。

日頃からエンジンオイルの量、汚れをチェックしていますか?(Piotr@Adobe Stock)
日頃からエンジンオイルの量、汚れをチェックしていますか?(Piotr@Adobe Stock)

バッテリーを長時間放置するとどうなる?

最近では、コンスタントに走らせているクルマなら、バッテリーの寿命は5年ほど持つというが、ほったらかしにしているとこのように緑青や硫酸塩の粉が吹いている場合が多い(Songkhla Studio@Adobe Stock)
最近では、コンスタントに走らせているクルマなら、バッテリーの寿命は5年ほど持つというが、ほったらかしにしているとこのように緑青や硫酸塩の粉が吹いている場合が多い(Songkhla Studio@Adobe Stock)

 バッテリーはまったく電気を消費しなかったとしても、貯められている電気の量が自然に目減りしていく。「自己放電」と呼ばれる現象が生じるからで、放置期間がながくなるほど放電量は多くなる。

 また、補機用に12Vを発生する車載バッテリーは「鉛バッテリー」と呼ばれる極板に鉛を使用しているバッテリーで、バッテリー液(電解液/希硫酸)と極板との間に生じる化学反応によって電気を貯めたり、放出する働きをしている。しかし、そのバッテリー液を注入した時点から劣化は始まり、実質的な容量(電気を溜めておける量)が徐々に減少していく。

 このため、年数が経過するほどにバッテリー上がりを起こしやすくなる。しかも、劣化すると内部抵抗が増加して電気が流れにくくもなるため、回転時、瞬間的に100A以上もの大電流を流れるセルモーターの回りが弱々しくなったり、回し続けられる時間が短くなったりもする。

 新車時の車検が3年に延長されて以降、バッテリーの耐久性も伸びており、エンジンさえ回ってしまえば充電されるため、コンスタントに走らせていればヘタリを感じることなく5年くらいは使うことができる。

 しかし、乗らずに駐車しておく期間が長いという利用状況なら、3年過ぎたら確実にバッテリー上がりを起こしやすくなっているので注意。もしも、セルの回りが弱々しかったり、一瞬止まるなど息付きする状況が頻繁に起こるようなら、ただちにプロにバッテリーチェックの依頼を。そして、もしも「要交換」という診断がでたなら、迷うことなく交換したい。

 長く乗らないとわかっている時には、バッテリーのマイナス端子を外しておこう(ただし装備のメモリー機能などが失われるため前もって確認が必要)。

 しかし、マイナス端子を外しても自然放電はするため注意が必要だ。自然放電している時には、充放電によって極板によって硫酸鉛が結晶化して内部抵抗を増やしてしまうサルフューションが起きやすくなってしまう。

 最近では、サルフューションがかなり進行した場合を除けば、パルス充電機能付きバッテリー充電器によって解消できる。

サルフェーションはバッテリーの起電力を低下させてしまうので、月に数度程度しかクルマに乗らないのであれば、パルス充電機能のあるバッテリー充電器でバッテリーを補充電してやると、バッテリーの寿命はグンと伸ばせる
サルフェーションはバッテリーの起電力を低下させてしまうので、月に数度程度しかクルマに乗らないのであれば、パルス充電機能のあるバッテリー充電器でバッテリーを補充電してやると、バッテリーの寿命はグンと伸ばせる

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