カーケミカル用品メーカー・ソフト99が開催した「くるままていライフ」には、ただの“移動手段”ではない愛車を大切に乗り続けるオーナーたち50人が集まった。なかでもひときわ視線をさらっていた数台のクルマと、そのステアリングを握るオーナーたちにスポットライトを当ててみると、簡単な一言では片づけられない、濃くて長い物語が静かに浮かび上がってきた。
文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:望月勇輝
【画像ギャラリー】RX-7もレビンも新車同様!! ピカピカなボディ輝くネオクラたちの姿を見て!!(20枚)画像ギャラリーリトラクダブルに恋をする
深い赤のセブンが静かに並んでいた。少し緊張した手つきでハンドルを撫でるのは、19歳でこのクルマを手に入れ、6年間乗り続けてきたオーナーのshionさんだ。きっかけは、映画「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」の劇中車だった。
「画面の向こうで走るRX-7の姿が、本当にかっこよくて。RX-7をきかっけにクルマそのものに興味を持ち始めました」と当時の心境を振り返る。
納車直後は毎週のように大黒ふ頭へ通い、夜風とロータリーの音、仲間との時間を味わった。だんだんと通う頻度は減ったけれど、「落ち着いて、きれいに乗る」のが今のテーマであるという。
休みの日はドライブに出かけ、帰ってきたら必ず洗車し、ボディを丁寧に拭き上げる。フロントマスクを正面から見つめ、「リトラクダブルヘッドライトが開く瞬間が、いちばんキュンとします」と少し照れながら笑った。
「もしワイルドスピードに登場するようなエアロを組んだRX-7を作るなら、増車ですね。この子はクルマの練習から一緒に過ごしてきた相棒なので」と語る横顔は、ボンネットに映る空と同じくらい澄んでいた。
アメリカのママに憧れて
白いウッディなステーションワゴンは、今ではあまり見かけないセドリックワゴンWY30。オーナーのおぎのさんがそのボディを撫でながら思い出すのは、アメリカ映画のワンシーン。
家族を乗せたお母さんが、ウッディワゴンで当たり前のように街を走るシーンがある。「そんなママさんになりたい」と憧れて選んだのが、セドリックワゴンWY30だった。
ヤフオクで見つけたとき、走行距離は24万kmを超えていた。それでも試乗した瞬間「まだまだ元気じゃん」と即決に至った。通勤も遊びもすべてこの1台。海から山へ、1年中を走り回り、ときには遠出も欠かせない。
白いボディは汚れが目立つため、どれだけ磨いても年式なりのヤレは残る。それでも「味が出ていて雰囲気が好きです」と笑う。
これだけアメリカンテイストなのに、実は北米未発売のセドリックWY30。海を渡ったことのないウッディワゴンは、今日も日本の道路で、彼女の日常をやさしく運んでいる。
世界最長のプリマスクーダーオーナーを目指して
淡い色の1970年式プリマス・パラクーダは、太陽の光を浴びて他にはない圧倒的な存在感を放っていた。オーナーのクーダさん少し誇らしげに笑う。
「今年で手に入れてから28年目なんです。このクルマが生まれてから55年だから、もう人生の半分以上を一緒に過ごしたことになります。目標は、この個体を世界で一番長く乗ったオーナーになる」ことと未来を見つめる瞳からは強い覚悟を感じた。
かつて事情があって、同じ年式・同じモデルのバラクーダを一度手放したクーダさん。その後どうしても忘れられず、再び同じ型を探し当てたのが、現在の相棒だという。
子どものころ憧れたのはマスタング。しかし免許を取るころ、中古車情報誌で見つけたのは、手の届く値段のバラクーダだった。「調べれば調べるほど、かっこいいなってハマっていった」という。
横からは見えない小さなウインカー、空が抜けるような大きな開口部。「正直意味があるのか分からないけど、そこが最高」とボディラインをなでる指先はやさしい。
「今日呼んでもらえたのが本当にうれしいんですよ。ここからは記録更新ですから」と笑うその横顔には、長く付き合ってきた相棒への揺るぎない愛情がにじんでいた。


























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