55年を経た個体の旋回性能は?
サスペンションには当時としては破格のコストがかけられており、前後ともダブルウィッシュボーンを採用。
実際にコーナーを攻めると、旋回中のロール感は軽微で危なげなく曲がってくれる。無難に曲がれる理由は、タイヤのグリップレベルは低いこともあり、限界域ギリギリで攻めるクルマではないということだ。
とはいえ足は柔軟に可動して路面のギャップもしなやかにクリアしてくれる。フラットな路面ではさらに評価は高い。この個体は、フルレストアが施されているので、アーム類のブッシュも張りがあり、新車時の動きが体感できた。
不完全さもまたLP400の魅力
ブレーキはドライバーの踏力がそのまま制動力となるタイプで、初期制動は控えめ。高速域からのフルブレーキングでは、思ったほど止まらないと感じることもある。ただし車両重量が約1tと軽量なため、総合的な制動性能は悪くない。
一方で、時速200km/hを超えるあたりから空力的な不安定さが現われる。デザイン優先でエアロダイナミクスが軽視されていた時代の特徴を、実際の全開走行でリアルに体験できたのは貴重だ。
わずか150台のみが生産されたLP400…… その存在は、これからも“スーパーカー小僧”たちの心を魅了し続けるだろう。
LP400 エンジン解説
LP400のパワーユニットは、ミウラから引き継いだバンク角60度のV型12気筒DOHC24バルブを搭載。最高出力375ps/8000rpm、最大トルク36.8kgm/5500rpmと、当時としてはトップクラスの性能を誇った。排ガス規制前の4Lエンジンながら、後継LP400Sと同等のパワーを発揮。
横置きだったミウラのエンジンを縦置きに変更し、MR駆動による重量配分は48:52を実現。さらに全高を抑えるため、横方向から空気を取り込むサイドドラフト式キャブを採用し、6基のウェーバーキャブで燃料を供給した。
気候により始動性にばらつきがあり、ランボルギーニが謳う最高速度300km/hは誇張とされるのが現在の定説である。
●ランボルギーニ カウンタック LP400 主要諸元
・全長×全幅×全高:4140×1890×1070mm
・ホイールベース:2450mm
・車両重量:1065kg(乾燥重量)
・エンジン形式:V型12気筒DOHC24バルブ
・総排気量:3929cc
・最高出力:375ps/8000rpm
・最大トルク:36.8kgm/5500rpm
・ミッション:5速MT
・駆動方式:MR
・サスペンション:F/R)ダブルウィッシュボーン
・ブレーキ:F/R)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤサイズ:F)20570VR14R)215/70VR14
・公表0-100km/h加速:5.6秒
・最高速度(工場公称値):309km/h
・生産期間:1974~78年
・生産台数:349台


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