44人の大所帯!? 工学院大学自動車部はカーライフを楽しみつつ勝負も本気な件

44人の大所帯!? 工学院大学自動車部はカーライフを楽しみつつ勝負も本気な件

 日本全国の大学自動車部を取材し、活動内容を周知し、応援していくこの企画。今回は工学院大学自動車部を取材させていただいた。新宿にある都会的なキャンパスが印象的だが、自動車部は八王子キャンパスを拠点にする44名の大所帯だ!!

※本稿は2025年11月のものです
文:奥野大志/写真:奥野大志 ほか
初出:『ベストカー』2025年12月10日号

【画像ギャラリー】カッコいいのが好きだから見た目にもこだわる!! 2026年は新レギュのスイフトスポーツで戦う工学院大学自動車部(16枚)画像ギャラリー

整備力と個性豊かな愛車に注目

工学院大学自動車部のみなさん。部員数は44名という大所帯。取材日当日に集合可能な部員たちが集まってくれた
工学院大学自動車部のみなさん。部員数は44名という大所帯。取材日当日に集合可能な部員たちが集まってくれた

●「自動車部」とは?

 自動車部は野球部や陸上競技部等と同じく体育会に所属する運動部。多くの私立大学が全日本学生自動車連盟(学連)主催のジムカーナやダートトライアルなどに出場している。

 工学院大学はジムカーナに絞った活動をしているほか、フォーミュラジムカーナにも出場。個人で学生ドリフトに挑戦している部員もいる。

●工学院大学 自動車部 活動内容
・正式名称:工学院大学 自動車部
・部員数:44名
・設立:1951年
・試合車:スズキ スイフトスポーツ(ZC31S)ほか
・活動場所:八王子キャンパス駐輪場横ガレージ
・活動日:毎週月/水/金

*   *   *

 今回お邪魔した工学院大学は、明治期に開学した「工手学校」をルーツに持つ工学系の大学で、現在4学部15学科を設置。卒業後はメーカーに進む人が多く、自動車メーカーやサプライヤーに多くの人材を輩出しています。

 キャンパスは新宿と八王子の2カ所。新宿は新宿駅西口から徒歩圏内、八王子は駅から少し離れた緑豊かなエリアにあり、自動車部のガレージもここにあります。

 案内された場所に徒歩で向かうと自動車部のガレージが見えてきました。屋根付きの整備エリアの中には試合車のインテグラタイプRとスイフトスポーツ、それと1年生用の練習車、プレオが入っており、作業性はよさそう。

 さらに、その前には10台以上のクルマが停められる広大なスペースがあり、整備を行うには文句なしの環境です。取材に対応していただいたのは部長の阿部敬士朗さん(建築学部2年生)。自動車部のプロフィールからインタビュー開始です。

「頭文字D」でクルマ好きになったという部長の阿部さん。部員たちが楽しそうにクルマをいじっているのを見て入部を決めた。得意のカスタマイズで自動車部を支える
「頭文字D」でクルマ好きになったという部長の阿部さん。部員たちが楽しそうにクルマをいじっているのを見て入部を決めた。得意のカスタマイズで自動車部を支える

 「工学院大学自動車部は現在、44名で活動しています。活動日は月、水、金の週3日。18時から20時まで、部車の整備などを行っています。大会は学連主催のジムカーナのほか、フォーミュラジムカーナや新人戦にも参加しています」(阿部さん)。

 自動車部最大の特徴は「なんでも自分たちでやること」。活動予算が限られているため、外注にはいっさい依頼せず、タイヤの組み換えから溶接、さらにエンジン載せ替えまで、すべての作業を部内で行っています。

 そのため、ガレージ内にはタイヤチェンジャーや溶接機、エンジンクレーンなどのツールを完備。なかには不具合が出ているものもあるそうですが、いつでも使えるようにコンディション管理されています。

 「マークIIに乗っている部員がいるのですが、お店にいっさい頼らず、自分でエンジンの載せ替えを行いました。お金がないから自分で載せ替えたのですが、今では自分でやるのが楽しくなっています。部車に手を入れられる余地が少ないため、部車よりも個人車をいじっている時間のほうが長いと思います」(同)。

 だからと言うべきか、かなり個性的なクルマに乗っている人が多い印象です。阿部さんの愛車は元教習車のコンフォートで、さらに17系クラウンやヴィヴィオRX-Rなど、マニアックなクルマに乗っている部員ばかり。工学院大学自動車部の濃いキャラクターを象徴しています。

 「もともと個人的なクルマに乗る学生が多い部活ではあったのですが、その流れで試合車と同じスイフトスポーツを買ったら負けみたいな雰囲気になりまして。

 あえて王道を外しているというか、ネットで自分がほしいクルマを見つけては買うようになりました。部内で車種のかぶりはなく、自動車部らしいクルマはフィットRSとCR-Zぐらいですかね」(同)。

 取材時の部内トレンドは“白の4ドアセダン”。阿部さんのコンフォートをはじめ、クラウン、RX-8、アルテッツァ、マークIIはすべて白。しかも、ツライチにするのが流行っていて、みんなワイドトレッドスペーサーで外に出しているとか。

 理系だけに理論に裏付けされたカスタマイズを行っていると思いきや、見た目重視でいじっているのが、とてもおもしろいです。

敷地を埋め尽くす個人車と部員たち。それぞれ好みが違い車種かぶりはなし。福島のエビスサーキットで行う合宿では、個人車と積載車(試合車)で下道をひた走る
敷地を埋め尽くす個人車と部員たち。それぞれ好みが違い車種かぶりはなし。福島のエビスサーキットで行う合宿では、個人車と積載車(試合車)で下道をひた走る

 「部車も見た目から入るのが自動車部のポリシーです。2025年の学連ジムカーナに使用したインテグラタイプRは、できるだけキャンバーをつけ、ドリ車のようにしました。

 さらに『いかちー』って言いながらフルエアロにしました。ジムカーナではただの重りにしかならないのですが(笑)。スイフトスポーツも見た目から入り、バリッと仕上げる予定です」(同)。

 個人車、試合車ともにカスタマイズが盛り上がっている工学院大学自動車部。現在、それに呼応するかのように1年生が増加中。

 正確に言うと、入部者の数は変わらないものの、やめる人が減っているそうで、部最多の15人が所属しています。新入生が自動車部の活動を楽しいと感じ、継続しているなんてめちゃくちゃ前向きじゃないですか。

 「みんなが活動を楽しいと感じられる、いい流れができているのだと思います。2025年は全関東ジムカーナでクラッシュしてしまいまして、全日本に出ることができなかったので、2026年は新しい規程のスイフトスポーツで学連ジムカーナに出場し、全日本で結果を残すのが目標です」(同)。

 頑張れ! 工学院大学自動車部。ニューマシン、スイフトスポーツの登場を楽しみにしています。

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