三菱 チャレンジャーの足跡 “都会派パジェロ”今こそ復活すべし!? 【偉大な生産終了車】

■海外では3代目へ進化 日本で1代限りとなった理由は?

 なかなか絶妙な存在だったようにも思える三菱チャレンジャーが1代限りで、しかも1996年から2001年という短命で終わってしまった理由。

 物事の大きな流れから見るならば、それは「クロカンブームが過ぎ去ったから」ということなのでしょう。

 しかしもう少しミクロに見た場合は、「同門のパジェロとの違いがうまく伝わらなかった(かなりカブっているように見えたし、実際カブっていた)」ということになるはずです。

リア。シャープなラインで構成されたボディは、ベースとなったパジェロの質実なそれから離れ、スタイリッシュな印象を与える

 前段で申し上げたとおり、チャレンジャーは2代目パジェロのラダーフレームを流用してはいるものの、基本的には「別の車」です。

 具体的には、「本格クロカン」であるパジェロに対し、チャレンジャーは「クロカンだけど装路でのスポーツ走行もまあまあ得意とする、現在で言うクロスオーバーSUVみたいな車」です。

 しかしながら当時はクロスオーバーSUVという言葉がありませんでしたし、その概念もまだハッキリしていなかったため、一般的なユーザーからするとチャレンジャーは「パジェロの亜流。それなら“本物”であるパジェロを買ったほうがいいかも」というような車に見えました。

 また三菱チャレンジャー自身に、今日的なクロスオーバーSUVとしての資質が欠けていたという事情もあります。

 チャレンジャーのフレーム構造は乗用車的なモノコックではなく、悪路に適したラダーフレーム。そして駆動方式も、モデル末期に近い1999年途中までは完全なフルタイム式4WDではありませんでした。

 以上の理由により、初代三菱 チャレンジャーは1代限りの短命車として終わってしまったわけですが、それはあくまで日本市場での話。

 クロカン車の需要が高い諸外国においては「手頃なサイズのクロカン」であるチャレンジャー(海外名パジェロスポーツ)はまずまず人気を博しており、2007年には2代目が発売され、2015年には3代目が発売されています。

3代目パジェロスポーツは2019年7月にマイナーチェンジ。全長×全幅×全高は4825×1815×1805mm(タイ仕様)。2代目モデル以降は海外専売モデルとなっている

 この3代目を日本市場に導入すればそこそこ売れるのではないか……とも一瞬思いましたが、ディーゼル規制の関係で日本への導入は実際には難しい模様。

 また何らかの方法で規制をクリアできたとしても、兄貴分であるパジェロの国内向け生産が終わってしまったほどクロカン受難の時代は続いていますので、わざわざ導入する価値はないのでしょう。「そういうのが欲しい人は、エクリプスクロスを買ってください」という感じで。

 残念ですが、仕方ありません。

■三菱 チャレンジャー主要諸元
・全長×全幅×全高:4530mm×1775m×1730mm
・ホイールベース:2725mm
・車重:1830kg
・エンジン:V型6気筒SOHC、2972cc
・最高出力:185ps/5000rpm
・最大トルク:27.0kgm/4500rpm
・燃費:―km/L(10・15モード)
・価格:284万8000円(1996年式X)

【画像ギャラリー】チャレンジャー、2代目パジェロ、そして3代目となったパジェロスポーツをギャラリーでチェック!!!

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