「天才タマゴ」と呼ばれた独創的なフォルムと革新的なパッケージングで、生産終了から5年が経ったいまも、多くのクルマファンの記憶に鮮烈に残る、トヨタ「エスティマ」。復活を望む声は絶えないものの、残念ながら再登場の気配はまったくありません。
しかし米国では、実質的にエスティマの兄弟車といえるモデルが、いまも脈々と販売されています。初代エスティマが北米で「プレビア」として展開されたあと、その後を継ぐかたちで誕生した「シエナ」です。エスティマ譲りのワンモーションフォルムを受け継ぎつつ、米国のミニバンらしい快適性と余裕を備えたシエナは、これまでも日本導入を高く期待されていましたが、トヨタが検討(※一部報道)する「米国生産車の逆輸入構想」によって、その可能性が一気に現実味を帯びてきています。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】現代版エスティマ!! 逆輸入構想で日本導入が現実味を帯びてきた、米国トヨタのミニバン「シエナ」(15枚)画像ギャラリー全長約5m&幅約2m! 北米トヨタが誇る本気ミニバン「シエナ」
トヨタ「シエナ」は、米国や中国などで販売されている大型ミニバンです。現行モデルは2021年10月に登場した4代目。全長204.1インチ(約5,184mm)、全幅78.5インチ(約1,994mm)という堂々たるボディは、2019年まで販売された最終型エスティマ(全長4,820mm、全幅1,810mm)や現行アルファード(全長4,995mm、全幅1,850mm)よりもはるかに大きく、米国では家族をゆったり運ぶための実用車として絶大な支持を得ています。
パワートレインは全グレードで2.5リッター4気筒ハイブリッドを採用し、前輪駆動と四輪駆動を設定。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リアはダブルウィッシュボーン式で、大柄なサイズながらしっかりとした走りを実現しています。
デザインはすっきりとクリーンでありながらしっかりと存在感を放つ造形。ワンモーションフォルムに近いスタイルに、鋭いヘッドライトや大開口のフロントグリルが組み合わされ、都会的で洗練されたエクステリアに仕上がっています。
車内は3列シートレイアウトとなっており、2列目には立派なキャプテンシート、3列目には6:4分割可能なシートを採用。運転席まわりには、12.3インチデジタルメータークラスターと、12.3インチタッチスクリーンを装備し、Qiワイヤレススマートフォンチャージャーやデュアルマイク、アラウンドビューモニターなども設定されるなど、最新ミニバンらしく装備も充実しています。全体的に落ち着いたカラーと質感の高いトリムで構成されたインテリアは、上品かつ安心感のある空間に仕上がっています。
特筆すべきは2列目に設定される「スーパーロングスライド・キャプテンシート」。前後に大きくスライドさせることで圧倒的な足元空間をつくり出すことが可能で、オットーマンも使えば、車内でもっとも贅沢で優雅な座席に。上級グレードには冷蔵庫や車内バキュームまで標準装備するなど、米国ファミリーミニバンの余裕と快適さを存分に味わえるのが特徴です。

















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