近年は、電動パーキングブレーキを搭載するクルマが増えてきているものの、足踏み式や手引き式といったサイドブレーキのクルマも、まだある。これらのサイドブレーキ、皆さんは、解除しないまま走行していたことはないだろうか。
もし気がつかずに、サイドブレーキをかけたまま走り続けてしまったら、クルマはいったいどうなってしまうのだろうか。
文:吉川賢一、写真:日産、トヨタ、マツダ
参考記事:【近頃急増中】電動パーキングブレーキにある意外に大きい長所と短所
サイドブレーキをかけたまま走行すると故障する?
サイドブレーキは、停車中にクルマが動かないよう、後輪を固定しておく機構のことだ。
後輪が固定力の強いドラムブレーキのクルマのサイドブレーキは、フットブレーキの油圧システムとは別に、ワイヤーでブレーキを作動させるシステムが搭載されている。
後輪がディスクブレーキの場合は、キャリパーの中に直接モーターを組み込み、モーターでキャリパーピストンを駆動させて、ブレーキローターを掴むシステムが搭載されている。
手引き式や足踏み式のサイドブレーキでは、ドライバーが引いたり踏んだりする力に左右されるため、手引きの量が甘かったり、しっかりと足踏みできていないと、車両の固定に失敗する、といったリスクもある。
この場合、色々な部分に負担をかけながらも、むりやり走行ができてしまう。電動パーキングブレーキのように、D(ドライブ)にシフトを入れて、アクセルを踏むと自動でサイドブレーキをキャンセルしてくれるような機能はないため、割とやってしまいがちなのだ。
電動パーキングの導入が推し進められてきたのは、このようなパーキングブレーキ作動のばらつきが排除できる、といった狙いもある。サイドブレーキをかけたまま走行しても、すぐに故障することはない。
しかし、徐々にブレーキは過熱していき、ブレーキの効きが悪くなっていき、大変危険だ。
実は筆者も昔、やらかしたことがある。その日は、荷物をたくさん積まなければならず、また、集合時間にも遅れそうで急いでいたため、うっかり足踏み式ブレーキを外し忘れ、走行を始めてしまった。
信号待ちからの発進時に、何となくクルマが重たく感じてはいたが、それよりも遅刻を恐れていたため、アクセルを踏む足にも力が入っており、全く気が付いていなかかった。
「何か変?」と思ったのは、走り始めてから2-3キロ経った頃。なんとなく焦げ臭い匂いを感じて辺りを確認すると、メーター内にサイドブレーキのマークを発見。
直ぐにキャンセルし、大事に至ることはなかったが、気づくのに遅れていたら、大変なことになっていたかもしれない。
手引き式、足踏み式はどの車も操作が同じなのに、E-PKBの操作がバラバラなのはなぜ?
セカンドカーやレンタカー、会社のクルマなど、普段乗っているクルマ以外のクルマを運転すると、電動パーキングブレーキの操作に戸惑うことがある。
現時点、電動パーキングブレーキの操作方式は、メーカー間で統一されておらず、ブッシュで解除されるのかロックされるのか、バラバラな状態だ。
ATのシフトレバーによるギアチェンジも同様で、「引いてアップか、押してアップか」がバラバラだ。
BMWやマツダは「シフトレバーを押してダウンシフトの方が、人に掛かる加速度と方向が一致する」というレースシーン由来の理由で、その動作の方向に設計している。
しかし、「ギアを上げる」のを直感的に分かるのは、「押したらアップ」「引いたらダウン」だ。ユーザーにやさしく作られているのはこちらの動作のやり方であろう。
統一規格がないために、メーカーによって操作方法が違ってしまっている状況であるが、筆者は自由度を残しておいてもいいとも思う。
メーカーの開発エンジニア達が、どういったフィロソフィで作り込んでいるのか、そしてそれが世間の方に好意的に受け入れられるのか否か、確かめていくのは面白い。
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