同じ血筋でバチバチ!? 「兄弟車」たちが繰り広げた仁義なき戦い

日産―4代目シルビアvs.2代目ガゼール

同じ血筋でバチバチ!? 「兄弟車」たちが繰り広げた仁義なき戦い
モータースポーツの世界でも名を馳せた名機・FJ20型エンジンが高い走行性能を発揮したS12型のシルビア

 1968年3月に日本で初めての“スペシャルティカー”として開発されて以降、1975年10月登場のS10型、1979年3月登場のS11型で常に時代をリードしてきたシルビア。

 一方のガゼールもシルビアの兄弟車として登場した1979年3月を機にターボモデルやDOHC 4バルブエンジン搭載車の追加に加え、ラリーやレースなどモータースポーツでの活躍によって“走り”のイメージをよりいっそう強めながら、新時代の量産スペシャルティカーとしての地位を確固たるものとした。

 そんなシルビアとガゼールの兄弟関係は、1983年8月に発売されたS12型でも継続されることとなる。

 4年5カ月ぶりに全面改良が行われたシルビアとガゼールは従来の基本コンセプトを受け継ぎながらも、1980年代後半に向かって多様化が進んでいたライフスタイルのなかで、スペシャルティカーに求められるスポーティ性やファッション性をより強く打ち出しながら、エンジンやサスペンションの性能を高めることで機能美を徹底的。

 あくまでも精桿で斬新なスタイルを高度に調和させた本格的小型スペシャルティスポーカーとして登場した。

 ボディタイプはともにクーペとハッチバックの2タイプが用意されたが、エンジンは2リッターターボ(FJ20E・T型)、1.8リッターターボ(CA18E・T型)、1.8リッター自然吸気(CA18E型とCA18S型)に加え、シルビアにだけ2リッター DOHC 4バルブの自然吸気(FJ20E型)が与えられた。

 また、エクステリアではフロントグリルとリアコンビネーションランプのデザインがシルビアとガゼールで異なっていた。

 スペック的に見ても大差なかったシルビアとガゼールだが、当時人気を博していたシルエットフォーミュラレースでシルビアが活躍していたこともあり、販売台数においてはシルビアに及ばなかったガゼール。

 1986年2月のマイナーチェンジでガゼールはシルビアに統合され、販売終了となった。

トヨタ―アルファードvs.ヴェルファイア

同じ血筋でバチバチ!? 「兄弟車」たちが繰り広げた仁義なき戦い
分厚くてワイドな網目状のフロントグリルが圧倒的な存在感を発揮するアルファード。テールランプも従来モデルを継承する2眼ランプで構成されるヴェルファイアに対して、アルファードはシームレスなデザインに

 2023年6月にフルモデルチェンジしたアルファードとヴェルファイア。

 両車はともに“大切な家族との移動や大事なお客様の送迎などのシーンで、運転する人も後席に乗車する人も乗る人すべてが相手を思いやり感謝し合える空間を実現するため、「快適な移動の幸せ」を極めること”を共通のコンセプトに掲げている。

 とはいうものの、両車には当然ながら個別のコンセプトもあり、高級車としての本質を捉えて真のラグジュアリーを追求する上品・品格を重視したアルファードに対して、ヴェルファイアはアグレッシブさを大切に上品方向へ存在感を追求するとともに走りのこだわりや個性も重視。

 それゆえに細かい部分での違いも多い。

 例えば、エンジンでいえば2.5リッターのプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、ガソリン車を設定するアルファードに対して、走りを重視するヴェルファイアでは2.5リッターのプラグインハイブリッド車&ハイブリッド車と2.4リッターのターボガソリン車を設定。

 また、外装もヴェルファイアには専用の加飾を施したエクステリアが装着され、かつ走りの味を引き出すべく専用のボディ剛性部品としてフロントパフォーマンスブレースも設定されている。

 となると、当然ながら価格帯もアルファードよりヴェルファイアのほうが高く設定されており、Executive Loungeグレードのプラグインハイブリッド車とハイブリッド車で20万円、ZグレードとZ Premierグレードのハイブリッド車で70万円、ZグレードとZ Premierグレードのガソリン車で115万円の差額が生じている。

 このような価格差の影響も少なからずあるのだろう。

 2024年の販売台数はアルファードが7万9374台だったのに対して、ヴェルファイアは3万3105台という結果に。2025年上半期(1~6月)の販売台数もアルファードが4万4735台だったのに対して、ヴェルファイアは1万5725台と大きく水をあけられている。

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