2025年のジャパンモビリティショーに続き、東京オートサロン2026も大盛況に終わった。昨年のスーパーフォーミュラの来場者数もスーパーGTと遜色ないほどと言われており、モータースポーツ人気も高まっているようだ。だが、さらにクルマ文化を根付かせるならサーキットの存在がさらに身近になる必要があるだろう。
文:中谷明彦/画像:日産、ベストカーWeb編集部
サーキットって妙に敷居が高くないか?
日本の多くのサーキットは、爆音を発するレーシングカーを安全に走らせるため、広大な敷地と騒音対策が必要だった経緯から、人里離れた山間部奥に建設されてきた。
日本を代表する国際規格サーキットの「富士スピードウェイ」もその典型であり、静岡県御殿場市の富士山麓須走の斜面を切り開いて造成されたため、現在でも公共交通機関でのアクセス性は極めて限定的だ。路線バスは存在するが、本質的には自家用車で訪れることが前提の立地であると言える。
一方で、西の雄である「鈴鹿サーキット」は、ホンダのテストコースとして発展してきた背景を持ち、周辺には居住地やホンダの工場が点在する。ホンダという巨大地元企業への理解が大きく、レース騒音に対する反発が少なかった点が特徴である。
しかし仙台市の「菅生サーキット」、かつての「西仙台ハイランド」のように、山頂部や谷間に造成されたサーキットは全国各地に点在し、公共交通による来場は現実的ではない場所が大半を占める。栃木県の「ツインリンクもてぎ」も当初は鉄道路線の引き込み構想があったが、経済状況の変化により実現しなかった。結果として、国内の主要サーキットは依然として「車で行くしかない」状況を根底に抱えている。
また、サーキットの営業スケジュールにも構造的制約がある。アマチュアレースから全日本選手権まで、ほとんどの大会が週末に集中する。年間の週末は約55回しかなく、その限られた枠を複数のカテゴリーで奪い合うのが現状である。
気軽に使用しづらい日本の背景
山間地にあるサーキットは冬季の積雪による使用期間制限もあり、実質的なオンシーズンは4月から12月中旬に限定されてくる。その中で興行、公認競技、メーカーイベント、ユーザー向けスポーツ走行枠を調整するため、サーキットの占有時間は常に不足しているのだ。
自家用車でのスポーツ走行人口が増えたことにより、平日の走行枠に利用が集中する傾向も顕著だ。週末の枠はレースやイベントで埋まり、一般参加型のスポーツ走行枠は平日の昼間に偏るため、一般的なサラリーマン、社会人が利用しにくい構造が固定されつつある。
車両の高性能化が進み、最高速度 300km/h 級のスーパーカーが数多く普及した今、これらの性能を合法的に発揮できる場所がサーキット以外に存在しないにもかかわらず、肝心のサーキットがニーズに応えられない環境が形成されつつある。
欧州では超富裕層がプライベートサーキットを保有し、高性能車両と同時に走行環境そのものを所有する文化が存在する。英国 グッドウッドの例のように、歴史ある名家が所有する敷地を一般開放し、ヒルクライムイベントを開催するなどの地域文化として根付いたモータースポーツ環境が形成されている。
日本ではそのような文化は希薄であり、サーキットは依然としてレース週末のみ賑わう限定的な存在に留まっている。
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