夜間時間帯の活用とかもアリでは?
日本のサーキットの敷居を下げるためには、まず走行環境にアクセスする機会を広げる施策が必要である。自動車メーカーが主催するドライビングエクスペリエンスやレーシングスクールは、プロドライバーが指導し、運営も整備されている点から、初心者が安全かつ体系的にサーキットデビューする手段として最適といえる。
こうしたプログラムの拡大は「入口の拡充」という意味で大きな役割を果たしている。
しかし、根本的にはサーキットの利用時間帯そのものを再定義する必要があるのではないだろうか。国内サーキットは「24時間レース」を除き、走行可能時間を日中に限定している。夜間は広大なスペースが遊休化し、施設は稼働せず、時間資源を活かしきれていない。夜間走行は騒音規制の問題があるものの、EVや静音性の高いノーマル車両であれば運用可能といえるだろう。
さらに、マフラー装着による消音を義務化したレーシングカーであれば、夜間のスプリントレース開催も十分視野に入る。欧州耐久レースのようにヘッドライトチューニングを伴う夜間走行は、観戦者にとっても視覚的魅力があり、新しい価値を提供できる。
週末の昼間に偏在するスケジュールを、平日の夜間へも分散させることができれば、社会人ユーザーの利用機会も大幅に広がる。平日の18時以降に短時間のスプリントレースやスポーツ走行枠を設定するだけでも、サーキットの使われ方は大きく変わるはずである。
日本サーキットもまだまだポテンシャルを秘めている!
アクセス性向上の観点では、自動運転技術の活用が有効な解決策になり得る。最寄り駅からサーキットまでの専用道路を整備し、自動運転化した電動マイクロバスを定時運行させることで、車を持たない若年層でも容易に来場できる環境を整えることができる。
富士山五合目へのマイカー規制と同様に、サーキットへのパークアンドライド方式の導入も周辺道路の渋滞緩和策として効果的になる。
富士スピードウェイが新東名高速に直結するサービスエリアの整備を計画しているように、道路インフラとサーキットを直接連結するプランは流動性の向上に寄与する。公共交通が難しい立地である以上、道路網との接続強化は現実的かつ有効な策となる。
サーキット数そのものを増やすことも重要である。千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイや、ポルシェエクスペリエンスセンター東京のような都市近郊型のコンパクトサーキットは、気軽に訪れやすく、利用者層拡大に寄与している。
さらに、関東圏には浅間サーキットのように歴史的背景を持ちながら未活用のエリアも存在する。国内初のモータースポーツ「浅間火山レース」が開催された地として知られるこの場所は、火山灰の悪路を保ち、近年人気のSUVやラリー車の走行拠点として非常に高い可能性を持っているはずだ。
オフロードコースから学べ!
オフロード走行用施設は舗装路のサーキットに比べて整備コストが低く、ピットガレージやサービスハウスを整えれば比較的容易に開設できる。現状は富士の「富士ヶ嶺オフロード」、秩父の「アウトドアパーク・ブロンコ」、愛知県「さなげアドベンチャーフィールド」など限られた施設に集中しているが、SUV人気の高まりを考えると、都市近郊の悪路体験施設は確実に需要がある。
国内のモータースポーツ人気は、盛況に終わった東京モビリティショーやスーパーGTの観客動員数から見ても依然として高いことがわかる。自動車愛好家は多く存在し、そのすそ野を広げるための環境整備こそが求められている。
利用者が自らの生活リズムに合わせてサーキットを訪れ、観戦し、走行し、学べる環境を整えることこそ、サーキット文化の構築に必要な最も重要な取り組みと言えるのではないだろうか。
高性能の車両が増え続ける今、走らせる場所が不足すれば、その価値は大きく損なわれる。安全に、合法的に、そして魅力的に走らせる環境を自動車社会全体で整えていくことが、これからの日本の自動車文化にとって不可欠で、サーキットに敷居を下げる必要性が問われているのだ。
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