時代を揺るがしたのみならず、その先の時代の在り方まで変えてしまったクルマがある。そしてそれは、国産のコンパクトカーとて例外ではない。
自動車評論家 国沢光宏氏に、クルマ界に大きな影響を与えたエポックメイキングな国産8メーカー別コンパクトカーモデルを挙げてもらった。
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※本稿は2020年3月のものです
文:国沢光宏/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年4月10日号
■「世界一のBセグ」初代フィット
日本車の歴史を振り返るとBセグという定義が曖昧になってしまうので気をつけないとならない。例えば現在Cセグに分類されているシビックは、デビュー当初すんごくコンパクトなクルマだった。今のフィットと並べたら、軽自動車に見えるくらい小さい。
また、先代カローラのように本来ならCセグのクルマながら、Bセグをベースにしちゃったようなモデルもある。ということで、あまり古いクルマや特殊なモデルは除く。
といった前提で最もエポックメイキングなモデルといえば、瞬時も迷うことなく初代フィットを挙げておく。それまでのBセグ、いろんな意味でガマンを強いられた。
●ホンダ 初代フィット…エポック度:100
スターレットなど圧倒的に実用性不足。リアシートに長い時間座ろうという気になどならない。マーチだって同じ。価格最優先で「軽自動車はイヤだけれど、かといって予算を限りなく低くしたい」みたいなユーザーに向いていた。
また前述のとおり1990年以前は現在のCセグがけっこう安かった。シビックだって100万円台からラインナップしていたし、大ヒットした初代FFファミリアだってサンルーフ付き1500ccで103万円でした。
けれどバブル景気で車体サイズは少しずつ大きくなり、しかも価格だってジワジワ上昇。Cセグの大型化により、Bセグのニーズが出てきた、ということです。そんなタイミングで登場したのが初代フィット。
すべての評価項目でBセグの水準を圧倒的に凌ぎ、室内スペースじゃCセグをも上回るほど。絶対的な燃費のよさでCセグを寄せつけず、それでいてボディを徹底して軽量化させた結果、動力性能だってよかった。
決定的だったのが価格設定。フィットより狭い競合Bセグより明らかにリーズナブルな価格。実際、フィットが出てからBセグの価格はフィットを基準とするようになったほど。世界一のBセグです。
■トヨタのブランドイメージ作りに貢献、2代目ヴィッツ
トヨタのBセグ代表は2代目ヴィッツでしょう。乗用車として評価するとあまり飛び抜けた性能こそ持っていないが、WRCに代表されるモータースポーツで大暴れした。
2代目ヴィッツほどさまざまな競技ジャンルで使われたBセグモデルは、レースにラリーに使われたKP61スターレット以来か?
トヨタにとってBセグは案外ブランドイメージ作りで重要なポジションだということがわかります。ヤリスはさらに期待しておく。
●トヨタ 2代目ヴィッツ…エポック度:70
日産を代表するBセグといえば、日本車にとって初めてのヨーロッパCOTY受賞となった2代目マーチだと思う。
初代マーチもスーパーチャージャー+ターボエンジンを搭載するなどクルマ好きからすればステキなモデルだったけれど、実用性不足だったように思う。
2代目モデルは大型化していくCセグを横目に、いい感じのBセグとして登場した。日本COTYも受賞しており、いいクルマだったと思う。
●日産 2代目マーチ…エポック度:70
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