三菱謹製良質コンパクト! コルトが一代限りとなった理由 【偉大な生産終了車】

三菱謹製良質コンパクト! コルトが一代限りとなった理由 【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は三菱 コルト(2002-2012)をご紹介します。

【画像ギャラリー】初登場からマイナーチェンジ、そしてラリーアートまで、コルトの変遷をギャラリーでチェック!!!

文:伊達軍曹/写真:MITSUBISHI


■ダイムラー・クライスラーと共同で開発された「まじめ」コンパクトカー

 当時、三菱自動車の筆頭株主だったダイムラー・クライスラーとプラットフォームを共有し、「まじめまじめまじめコルト」というキャッチフレーズで2002年11月に登場。

 だが三菱自動車のリコール隠し問題によるイメージ悪化の影響を受け、ヒット作には至らないまま1代限りで消滅した良質なコンパクトカー。それが、三菱 コルトです。

 デザインは、ダイムラー・クライスラー(当時)のオリビエ・ブーレイが監修した「ワンモーションフォルム」と呼ばれるシンプルな造形。

 同時期のホンダ フィットと似たフォルムでしたが、ボディサイズはフィットより少しだけ大きめです。

2002年登場時のコルト。後に出てくる「ブーレイ顔」とは、三菱のダイムラー・クライスラー傘下入りと同時に三菱のデザイン部門のトップとして赴任したオリビエ・ブーレイによるフロントグリルのことを指す

 基本となるエンジンは最高出力90psの1.3L DOHCと、同98psの1.5L DOHC。

 いずれも連続可変バルブタイミング機構を備えた「MIVEC」です。組み合わされるトランスミッションはCVTで、駆動方式は当初FFのみだったものの、2003年1月には4WDも追加されました。

 こういったハードウェア以上に特徴的だったのは、「CFC(Customer Free Choice)」と呼ばれる受注システムかもしれません。

 これは「スタンダード」という素の状態から、内外装とエンジン、ホイール、シート、オーディオ等々をユーザーが自由に選ぶことができるというもの。

 しかしさすがにこれは「めんどくさい」という見方もありましたので、いくつかの推奨パッケージは当然ながら用意されていました。

 デザインにも走りにも「華」のようなものはなかったコルトでしたが、「まじめまじめまじめコルト」というキャッチフレーズどおりの実直な作りは、当時のジャーナリストや一部ユーザーからはそれなりに高評価されていました。

 そんな三菱 コルトは2004年5月からはEU向け仕様が欧州で発売され、同年10月にはマイナーチェンジを実施。いわゆる「ブーレイ顔」をやめるとともにエンジンをオールアルミ製ユニットに変更し、1.5Lターボエンジンを積む「ラリーアート」も追加しました。

 そして2006年5月には、今なお中古車市場で高い人気を誇っている「コルトラリーアート Version-R」を発売。

コルトラリーアート Version-R(2006年)。「ラリーアート」とは、WRCなどのレース参戦専用車両を開発していた三菱のワークスチューンブランドのことを指す。当時のクラス最強を誇る、最高出力163psを発生する1.5L直4ターボエンジンを搭載

 これは、当時クラス最強となる154psの1.5Lターボに、ゲトラグ製5MTとザックス製クラッチを組み合わせた(※CVTもあり)スポーツバージョンで、ボディの随所にはスポット溶接を増し打ち。さらに内外装にもさまざまな専用品が投入されていました。

 このコルトラリーアート Version-Rは一部自動車ファンの間で人気を集め、その他、通常グレードにもさまざまな改良を順次施していったコルトでしたが、その人気は残念ながら炸裂せず。

 そのため、2012年12月には国内向け仕様の生産が終了となりました。

次ページは : ■キャッチコピーが裏目に? コルトが1代限りとなった理由

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