三菱謹製良質コンパクト! コルトが一代限りとなった理由 【偉大な生産終了車】

■キャッチコピーが裏目に? コルトが1代限りとなった理由

 「まじめまじめまじめ」をキャッチフレーズとし、そして実際そのとおりに作られていた三菱 コルトはなぜ、1代限りで生産終了となってしまったのでしょうか?

 その理由は、大きく分けて2つあるでしょう。ひとつは、なんといっても当時の三菱自動車のダーティなイメージです。

2004年、マイナーチェンジ後のコルトのフロントビュー。2004年にダイムラー・クライスラーとの提携が途切れると同時に、ブーレイ氏も三菱を離れることになるが、不評を買った「ブーレイ顔」は、その後の三菱の「負の遺産」となる

 今さら蒸し返すつもりはありませんが、事実として当時の三菱自動車は長きにわたって重要不具合情報を隠蔽し、それが2000年6月に匿名の内部告発でバレるというという事件がありました。

 これに関連して本社などで警察のガサ入れが行われ、社長は辞職し副社長は書類送検。さらに2002年には大型車のホイール脱落事故もありました。

 そんなさなかに「まじめまじめまじめコルト」と言われても、ユーザーとしては「……ホントかよ? イマイチ信じられねえな」と反応してしまうのが人情というものでしょう。

 そしてコルト発売後の2004年にもまたリコール隠しが発覚してしまいましたので、コルトには何の罪もないのですが、この時期にフィットでもヴィッツでもマーチでもなく、わざわざ「三菱のコルト」を買おうとした人は、よほど三菱びいきな人だけだったはずです。

 また、先ほど「コルトには何の罪もないのですが」と言いましたが、それでもやっぱり、コルトも決して「無罪」ではなかったのかもしれません。

 キャッチフレーズどおり、まじめに作られた小型車であることは間違いない三菱 コルトでした。しかし車というのは、「まじめに作られてるから」という理由だけで売れるものでもありません。

 たとえ実用的なFFハッチバックだったとしても、そのなかに「デザイン的な華やかさ」だったり「ちょっとしたカッコよさ」みたいなものが垣間見えたときに初めて、人は「おっ、買ってみようかな?」なんて思うものです。

 その意味でコルトは、エクステリアにも内装にも「華」がありませんでした。

コルトの内装(写真は2004年の4WD追加設定時)。2500mmのホイールベース(前輪と後輪の間隔)によって、車内は広かった

 もちろんこのあたりの評価は人それぞれのセンスによって変わるのでしょうが、極力客観的に見て、コルトのデザインには「思わず人を引きつける何か」が欠けていたと言わざるを得ません。

 実用小型車としての出来は決して悪くなかっただけに、当時の製造元がやらかしたモロモロと、このデザインが、残念でなりません。

■三菱 コルト 主要諸元
・全長×全幅×全高:3870mm×1680mm×1550mm
・ホイールベース:2500mm
・車重:1100kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1343cc
・最高出力:90ps/5600rpm
・最大トルク:12.3kgm/4250rpm
・燃費:―km/L(10・15モード)
・価格:145万5000円(2003年式エレガンスバージョン)

【画像ギャラリー】初登場からマイナーチェンジ、そしてラリーアートまで、コルトの変遷をギャラリーでチェック!!!

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