花粉はどこから入る? どこに溜まる? クルマの“見えない侵入経路”を暴く

花粉はどこから入る? どこに溜まる? クルマの“見えない侵入経路”を暴く

 春の訪れとともに、花粉に頭を悩ませる季節もやってきた。密室状態の車内なら屋外より安全……かと思いきや、粒子の小さな花粉は車内にも容赦なく入り込んでくる。そこで今回は車内に花粉を入れない方法などを解説。

文:山口卓也/写真:写真AC、Adobe Stock

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車内の花粉が原因で事故→有罪判決!?

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時速60kmでは1秒間に約16.7m進む。くしゃみ中の0.5〜2秒間は無制御に近く、最大33mも進むため非常に危険だ

 この時期、花粉症の人は常に花粉による目のかゆみやくしゃみ、鼻水や頭痛などに悩まされている。花粉症ではない人からは、「大変だね……」程度に思われているが、発作が起きると運転どころではない状態に陥ることもある。

 実際、2016年には運転中の激しいくしゃみや目のかゆみが原因でドライバーがハンドル操作を誤り対向車線へ。対向車線を走行していた軽自動車と正面衝突することにより、死傷者が出る大事故となった。

 裁判によりドライバーには有罪判決が下されたが、この時、裁判官は「花粉症の症状が出た時点で運転を中止すべきであり、過失は軽いとはいえない」と指摘した。

 このように、運転中の重い花粉症の症状により事故につながりかねない場合は、安全な場所に停車して症状が落ち着くまで運転を控えることが重要。

⚫︎くしゃみ1回でクルマはどのくらい進むのか?

 多くの幹線道路での制限速度は時速60km程度。となると、1秒間に16.7m進むことになる。

 また、一般に1回のくしゃみにかかる時間は1秒未満〜数秒と言われ、運転中であればハンドルを握る手に思わぬ方向の力が加わる場合や足がペダルから離れてしまうことも十分あり得る。

 仮にくしゃみにかかった時間を0.5秒〜2秒とした場合、クルマは8m〜32mもほぼまともに操作できなくなるわけで、これがどれほど危険な状態であるかは容易に想像できるはず。

エアコンは内気循環? 外気導入?

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内気循環はCO2濃度が上がり、眠気や注意力の低下を招く。花粉対策中も外気導入を基本に、換気を行おう

 排ガスや花粉の車内への侵入を嫌い、車内でのエアコンモードを内気循環にする人がいるが、これについてJAFはユーザーテストを行った。

ドライブ中で、空調は「内気循環」「外気導入」どちらがいいの?

 この検証では、エアコンモードを外気導入にしたとしても花粉の侵入はわずかだった。「最近のエアコンフィルターの花粉除去性能は向上しており、外気導入モードでも花粉の侵入を心配する必要はあまりなく、むしろ衣類に付着した花粉や乗降時に付着した花粉を除去することのほうが重要」とレポート。

 また、注目すべきは内気循環にした場合のCO2濃度の高さ! 

 車内のCO2濃度が3000ppmを超えると疲労感の増加や注意力の低下、さらに眠気や頭痛を訴える人が増加するが、60分の内気循環では最大で6770ppmにまで上昇した(外気導入では1000ppm前後)。

 CO2濃度が高くても短時間では問題ないとも言われるが、運転中はできるだけ外気導入にし、最低でも1時間に1回は換気を行い、トンネル走行や前車の排ガスが気になる場合のみ内気循環にすることをJAFでは推奨している。

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花粉の侵入経路と花粉対策

 花粉が車内に侵入するのは、主に次の4シーン。

・乗降時にドアを開けることで負圧が発生し、外気中の花粉を車内に吸い込む
・服に付着した花粉を乗降時に車内に持ち込む
・換気で窓を開けた際に車内に花粉が吹き込む
・外気導入時にわずかに車内に花粉が吹き込む

 「どれもやらないようにする」という選択はないため、車内に入ってしまった花粉をどうやってなくすか? を考えたい。

1.エアコンフィルターをまめに交換

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目詰まりしたフィルターは、空気が通れる隙間に風が集中。その負荷で繊維の目が押し広げられ、損傷した穴から花粉が容易に車内へ侵入する

 エアコンフィルターが汚れていると、汚れで風が通らない穴にむりやり風が入り込むことで穴が損傷して大きくなり、花粉は容易にフィルターをすり抜けるようになる。

 多くの人は、車検時にエアコンフィルターを交換する(推奨交換頻度はおおむね1年もしくは1万kmごと)と思うが、エアコンフィルターの価格は数千円程度と安価。交換作業のDIY難度も非常に低いため、自身で十分交換可能。せめて1年に1回は交換しておきたい。

 また、フィルターの中には花粉や黄砂、PM2.5にも対応する高性能フィルターもあるので、選べるならこちらを選ぶこと。

 ちなみに、粒子の大きさはμm(マイクロメートル)で表され、大きい順にスギやヒノキ花粉(直径30~40μm)>黄砂(約4μm)>PM2.5(2.5μm以下)。

 つまり、PM2.5に対応するものは花粉も余裕で除去できるというわけだ。

2.車内の掃除を徹底的に行う

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ウィンドウは摩擦で静電気が起きやすく、花粉を吸い寄せる。水拭きをすると花粉を除去でき、再付着も防げる

 どうしても車内に入り込んでしまう花粉をそのままにしておくと、エアコンによって空中に舞い、花粉症の症状を悪化させてしまう。そうならないために、車内にある花粉の掃除は徹底的に行う。

 花粉が溜まりやすい場所は、シート(表面や縫い目)、マット、ダッシュボード、メーター周り、各種ボタン類の凹凸部、ドアポケット、サイドウィンドウと内張りの間……など、ありとあらゆる場所。

 花粉は静電気の発生しやすい場所に付着するという特性があるため、これらの場所を固く絞ったウエスでまめに水拭き。通常のほこり掃除では除電クロスやブラシなどを使って静電気を起こさせない工夫も重要。

3.高性能な空気清浄機や加湿器を導入する

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静電気を抑え花粉を集める空気清浄機や、浮遊を防ぐ加湿器も有効。車内の湿度を高めてクリーンな環境を保とう(Mariana@Adobe Stock)

 車内用の空気清浄機のなかには、車内の花粉を集め、静電気を抑制するものもある。また、加湿器を使うことで車内の湿度を高め、花粉が空気中へ浮遊するのを防ぐ効果もある。

4.花粉が付きにくい衣類を選ぶ

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フリース素材は起毛した繊維の間に花粉が入り込みやすく、静電気も発生しやすいため、花粉を強く引き寄せ、一度付くと離れにくい性質がある

 花粉症の人なら当たり前に知っていることかもしれないが、衣類の素材によって花粉が付きやすいものがある。

 最も付きやすいのはウール素材(コットンの10倍!)で、特にセーターやコートは要注意! 

 また、繊維の隙間に入りやすいフリース素材やモヘヤ素材、畝(デコボコの部分)と毛羽立ちが特徴のコーデュロイ(主流素材は綿、ウールやナイロン混紡もある)、ふわふわのファー素材の付いた服なども花粉が付着しやすいので避けたほうが無難。

 逆に、表面が滑らかな素材、例えばナイロン素材やコットン素材のものは付着しにくいが、違う素材を組み合わせると静電気が発生しやすくなる特性がある。静電気が起こると花粉が付着しやすくなるので、静電気を起こさない組み合わせがお薦め。

 例えばプラスに帯電するナイロンやウールに、マイナスに帯電するアクリルやポリエステルなどの組み合わせは避けるべき。組み合わせるならプラス同士、マイナス同士を!

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