2026年2月、アメリカとイスラエルがイランを攻撃。イランは中東各国への輸出入の要衝であるホルムズ海峡を封鎖した。さらにアメリカもイランの船舶に対して海峡封鎖を実施。この件が我々にどのような影響を与えているのだろうか。
※本稿は2026年3月のものです
文:井元康一郎/写真:ベストカー編集部、AdobeStock(トップ画像=Mohsin@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2026年4月26日号
ホルムズ海峡封鎖が自動車業界に与える影響
アメリカ・イスラエルとイラン間の紛争はイラン革命防衛隊によるホルムズ海峡封鎖に進展。世界経済に大きな影響を与えている。
ペルシャ湾は面積約25万平方kmの閉鎖性水域で、ホルムズ海峡はその出入り口にあたる。
幅は50kmと海峡としては広いが、世界に積み出される石油、天然ガスの実に5分の1がここを通る。またペルシャ湾岸はサウジアラビア、ドバイ、アブダビ、カタールなど自動車輸入の拠点港があり、エネルギー以外の物流も活発だ。
そんな重要な要衝ゆえ、航行の安全は絶大な人質的価値を持つ。1980年代のイラン・イラク戦争時にホルムズ海峡付近が交戦の場となった時は原油価格が2倍に跳ね上がった。
その経験からイランは国際政治での立場が悪化するたびにホルムズ海峡封鎖を恫喝外交のネタとして振りかざしてきた。それだけに今回のアメリカ、イスラエルとの戦争で何もしないわけにはいかず、伝家の宝刀を抜いたというわけだ。
その影響をモロに被ることになったのは日本の自動車業界だ。石油価格の上昇が自動車の消費マインドに悪影響を及ぼすというのは昔と同じだが、違うのは中東諸国が日本メーカーにとってクルマの上顧客になり始めている点だ。
中東の自動車市場は日本車のシェアが非常に高いのが特徴。ジェトロ(日本貿易振興機構)によれば、2025年の日本からの自動車輸出額は全社合計で2兆4483億円と、2024年に対して15.3%の大幅増で過去最高を更新した。
ペルシャ湾内の自動車輸入拠点港が事実上封鎖状態になったことは打撃大だ。トヨタ自動車は3月に中東向けを2万台減産。問題が長期化すれば4月も同程度の減産を余儀なくされる公算大だ。
砂漠への強さから中東での人気が高い日産自動車も九州工場での減産を開始しているもようだ。
ほかのメーカーは表立った動きは見せていないが、ペルシャ湾内にいる自動車運搬船が停滞を余儀なくされていることから、早晩減産に踏み切らざるを得ないだろう。早期沈静化は果たして実現されるのか。
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