シートベルト未着用に対する意識を問う
さらに見過ごせないのが、生徒が車外に放出されたという事実だ。事故の調査結果はまだわからないが、おそらくはシートベルトの装用が徹底されていなかったという見方もできる。
シートベルトの装用は交通安全の鉄則だ。事故当時、車内ではシートベルトの着用が徹底されていたのかは分からない。さらにまずいことに、安全管理をすべき顧問は用品を積み込み別車両で移動という、通常では考えられないほどの安全管理意識の薄さが露呈している。
時速100km近い速度で走る車内において、ベルトを締めないということがどれほど恐ろしいことか。学校側には、その「物理的な恐怖」に対する想像力が決定的に欠けていたのかもしれない。そして我々のような自動車メディアが幾度に渡って、全席シートベルト装用を提言してもまだ浸透していない光景を目にする。ここにメディアとしての無力さも感じる。
生徒たちが部活動で結果を残すこと、遠征で経験を積むこと。それは学校教育として大きなミッションだ。しかしそれ以前に、生徒を「無事に自宅の保護者のもとに帰す」ことこそが、学校が負うべき最大の責任ではないか。今回の事故は、全国の学校現場にも存在するであろう「遠征バス=安ければいい、運んでくれればいい」という風潮への、重すぎる警告だ。
亡くなった生徒は、夢を持って遠征に向かっていたはずだ。その未来を奪ったのは、事故を起こした運転手だけではない。彼にハンドルを握らせ、安全管理を放棄した「学校側の甘え」そのものである。
学校には「学校保健安全法」という法律がある。「教育基本法」「学校教育法」「子どもの権利条約」などと並び、教員が必須で学ぶ法規だ。その27条に下記のような文言がある。
第二十七条 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。
つまり学校には学内外での児童・生徒への安全管理義務がある。自動車での移動という大きなリスクを伴う活動が、なぜこれまで蔑ろにされてきたのか理解に苦しむ。ただわれわれクルマを愛するメディアは、二度とこのような「愚かな選択」で命が失われないよう、強く、厳しく声を上げ続けなければならないだろう。
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