雨の高速で制動距離70.5m!! 「溝2分山タイヤ」はまだ使えるどころか超危険だった

雨の高速で制動距離70.5m!! 「溝2分山タイヤ」はまだ使えるどころか超危険だった

 雨の季節がやってきました。雨の日には、視界が悪くなったりスリップしやすくなることから、運転には気を付けているという人は多いと思いますが、気を付けなければならないのは運転操作だけではありません。とくに意識したいのがタイヤの残り溝。タイヤの溝が減ると雨の日の性能が大きく低下し、思わぬ危険につながることがあります。

 JAF(日本自動車連盟)が実施したユーザーテストでは、残り溝3mmのタイヤを装着したクルマは、新品タイヤを装着したクルマと比較して、制動距離が1.5倍も伸びる結果となっています。雨の季節にあらためて確認しておきたい、摩耗タイヤの危険性について紹介します。

文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_naka/写真:Adobe Stock、写真AC

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「まだ使える」が危険!!

 クルマの一般的な消耗品のなかでも、コストがかかるタイヤ。昨今は、性能のいい格安タイヤの選択肢も増えていますが、それでも4本交換となれば、工賃込みで5万円から10万円ほどは覚悟しなければならず、タイヤの交換はできる限り先延ばしにしたくなるものです。摩耗してきたなと思っても、保安基準である残り1.6mmにいたるまで交換しないという人も少なくないでしょう。

 実際、タイヤは摩耗してきても、晴天時にはある程度普通に走ることができます。とくに危険を感じないことから「大丈夫」と考えがちですが、怖いのは雨の日です。

 タイヤの溝には、路面に溜まった水を溝へ逃がすことで、タイヤをしっかりと路面へ接地させるという役割があります。そのため、溝が減ると雨天時の排水性能が低下。タイヤと路面の間に水が入り込みやすくなり、「止まる力」が大きく損なわれてしまいます。

溝が減ると排水性能が低下。雨の日はタイヤと路面の間に水が入り込みやすくなり、「止まる力」が大きく損なわれる(PHOTO:Adobe Stock_Kyryl Gorlov)
溝が減ると排水性能が低下。雨の日はタイヤと路面の間に水が入り込みやすくなり、「止まる力」が大きく損なわれる(PHOTO:Adobe Stock_Kyryl Gorlov)

残り溝3mmは、高速での制動距離が、新品タイヤの1.5倍に

 JAFが実施した摩耗タイヤの検証では、ウェット路面(雨で濡れている路面)で時速100kmからフルブレーキを行った場合、新品タイヤ(残り溝7.6mm)の停止距離は47.6mだったのに対し、溝が半分ほど減った5分山(残り溝平均4.7mm)タイヤでは50.8m、さらに摩耗した2分山タイヤ(残り溝平均3.1mm)では70.5mまで伸びる結果となったそう(タイヤ溝深さは接地面中央で測定した平均値、5分山・2分山は、新品溝深さから使用限度1.6mmを除いた値を基準に算出)。

 5分山タイヤは新品比で約7%増にとどまっていますが、2分山まで減ると停止距離は約48%増。制動距離は約1.5倍まで一気に悪化しています。

 つまりタイヤは少しすり減った程度では性能低下を感じにくいものの、限界付近まで使い込むと、雨の日の高速からの制動性能は急激に悪化、溝が十分に残っているタイヤなら止まれていた場面でも、摩耗タイヤでは止まりきれない可能性があるのです。

 制動距離(ブレーキを踏み始めてから、クルマが完全に停止するまでの距離)が想定以上に伸びれば、前走車との車間が十分にあったつもりでも、追突リスクは一気に高まることに。とくに速度域の高い高速道路では、この差が重大事故につながる可能性も十分あります。

摩耗タイヤの検証(JAFユーザーテスト)

JAFのテストでは、残り溝3mm前後の摩耗タイヤは、雨の日の制動距離が新品比で約1.5倍まで悪化した(JAFのテスト結果をもとに筆者作成)
JAFのテストでは、残り溝3mm前後の摩耗タイヤは、雨の日の制動距離が新品比で約1.5倍まで悪化した(JAFのテスト結果をもとに筆者作成)

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