なぜ日本でディーゼルは「主役」になれなかったのか
それでも、日本でディーゼル車が主役になることはありませんでした。欧州では2015年に発覚した排出ガス不正問題をきっかけにディーゼル車への逆風が強まりましたが、日本でディーゼル車が主流になれなかった理由は「ハイブリッド車」の存在です。
日本では1997年に登場したトヨタ「プリウス」を皮切りに、2011年の「アクア」など、ハイブリッド車が早い段階で普及。燃費性能というディーゼル車の強みはハイブリッド車でも実現できるようになりました。また、静粛性や街乗りでの扱いやすさという面でも、ハイブリッド車は優位でした。ディーゼルエンジンの騒音や振動は大幅に改善されたとはいえ、モーター主体で走行できるハイブリッド車には及びません。
日本では年間走行距離が比較的短いユーザーも多く、車両価格が高いディーゼル車のメリットを十分に活かせる人が限られていたことも、ディーゼル車の普及が進まなかった要因でしょう。長距離を走るほど魅力が増すディーゼル車よりも、日本のユーザーの多くにとってはハイブリッド車のほうが使いやすかったのです。
寂しいけど、避けられない判断
それでも、マツダのSKYACTIV-Dが日本の乗用車市場に残した功績は小さくありません。2025年度のディーゼル車新車登録台数では、マツダが約25%を占めており、三菱やトヨタを抑え、輸入車に次ぐ規模を維持しています。乗用ディーゼル車が絶滅しかけていた時代にSKYACTIV-Dを投入し、市場を再び活性化させた意義と功績は大きかったといえます。
その象徴的な存在がCX-5でした。グローバル市場ではディーゼル車の縮小が続いており、ユーロ7など厳格化する排出ガス規制への対応も求められており、開発コストの負担を考えれば、マツダが電動化へ軸足を移していくことは避けられない判断といえます。ただこれは、ディーゼル車の価値が失われたことを意味するわけではありません。
新型CX-5にフルハイブリッドモデルの追加も予定されるなど、マツダは電動化への歩みを着実に進めています。今回のディーゼル廃止は、マツダが次の時代へ向けて舵を切ったことを示す出来事として記憶されることになりそうです。
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