今や日本国内のクルマはAT(オートマチックトランスミッション)車が圧倒的な多数派だが、あえてMT(マニュアルトランスミッション)車を選ぶ人もいる。そんなMT愛好者が考えるATにはない魅力や利点とは?
文:長谷川 敦/写真:スバル、トヨタ、写真AC
【画像ギャラリー】MT乗りの定番マウント、その実態とは(8枚)画像ギャラリーMT車の運転は本当に難しいのか?
●MTに乗っている人のほうが運転がうまい
これはよく聞かれる言説で、ATに比べて複雑な操作が要求されるMT車乗りのほうが運転技術に長けているというもの。
この言説は一面では事実であるといえるが、すべてを表しているわけではない。
MT車の変速は足で踏むクラッチとアクセル、そして手で動かすシフトレバーの操作を連動させる必要があり、これがスムーズにできる人は変速操作がうまいと考えてよい。
しかし、運転に求められるのは変速だけでなく、ハンドルの適切な操作、交通の流れを乱さない巡航や停止、車線変更など多岐にわたり、変速だけ巧みでもその他の操作がヘタでは運転がうまいとはいえない。
●MT車に乗れる人はATも乗れるが、その逆は違う
これは技術的な理由と法律上の理由のふたつが考えられる。
前述のとおりMT車の操作は複雑で、個人差はあるものの、うまく行えるようになるにはある程度の練習が必要になる。
これに対してAT車は基本的に変速操作が不要であり、特に練習はいらない。
だからMT車が運転できる人はAT車も運転できるということになる。
また、かつての運転免許技能試験はMT車で受けたため、これに合格した人は必然的にMT車を運転できたが、1991年11月からはAT限定免許制度が施行され、運転免許証があってもAT車しか運転できないドライバーも誕生している。
当然ながら、AT限定免許でMT車を運転することは違法行為になる。
MT車の運転も可能な運転免許証を持っていればAT車も運転可能で、ふだんはAT車に乗っていても、いざという時にMT車を運転できるのは強みになる。
安全性に関するマウント
●AT車は眠くなるが、MT車ならそうならない
これもMT車に乗っている人が言いがちな言説。
特に市街地を走っている場合、MT車の操作量はAT車に比べて格段に多い。
そのため操作に集中しなければならず、やることの少ないAT車よりも眠くなりにくいというもの。
これもまた真実の一面ではあるが、やはり万能な説ではない。
人間には変化のない状態が続くと眠くなってしまう傾向があるが、特に一定速度で走り続ける高速道路でこうした状況に陥りやすい。
そして高速道路での巡行ではMT車であっても変速するケースは少なく、AT車同様に眠気に襲われる可能性はある。
MT車に乗っているからといって過信せず、無理のないスケジュールで運転するように心がけたい。
●踏み間違いの可能性が低い
重大事案の発生によって話題になり、今なお問題視されているのがブレーキとアクセルの踏み間違いによる交通事故。
この事故はAT車で多く発生している。それゆえにMT車に比べてAT車が危険だという声もある。
たしかに前進側から後進側、あるいはその逆の切り替えを行う際にクラッチ操作も必要になるMT車では踏み間違いも起きにくいのは事実。
もちろんMT車での踏み間違い事故の可能性もゼロではないが、この問題に関してはMT車のほうが安全と考えられる。
実際、踏み間違い事故は高齢ドライバーが起こしやすく、自身が高齢になった際にAT車からMT車に乗り換えるドライバーも存在している。
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