2026年5月14日、ランドクルーザーシリーズに新しい仲間が加わった。その名は「ランドクルーザーFJ」。フラッグシップの300、中核を担う250、質実剛健な70に続く第4のモデルとして登場したこのクルマは、シリーズ最小・最も手の届きやすい価格帯を売りに、本格的なオフロード性能と扱いやすいボディサイズを両立させている。FJと聞いてもうひとつ思い出すのが「FJクルーザー」ではなかろうか。爆売れ中のランクルFJとは対極にあった、もう一つのFJを取り上げていきたい。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
【画像ギャラリー】FJクルーザーのドアって観音開きだったの!? 個性があふれすぎよ!!(27枚)画像ギャラリー同じFJでも全然違うクルマ
ランドクルーザーFJは、直列4気筒2.7Lガソリンエンジンに6速AT、ラダーフレームのパートタイム4WDという硬派な構成ながら、全長4575mm・最小回転半径5.5mというコンパクトな取り回しの良さも備える。名前の由来は「Freedom & Joy」。かつて存在した「FJクルーザー」の後継ではなく、血縁関係のないまったく新しいモデルだ。
それでも「FJ」という名前を聞いて、かつてのFJクルーザーを思い出した人も少なくないはず。筆者はディーラーの営業マンとして、このFJクルーザーをめぐる商談の現場に何度も立ち会ってきた。新型FJが「自由」と「楽しさ」を掲げて多くの人に支持される存在になろうとしている今だからこそ、あの時代の「FJ」が抱えていた、もう一つの物語を振り返ってみたい。
FJクルーザーは2010年から2018年まで販売された本格オフロード4WDだ。丸目のヘッドランプとTOYOTAロゴを刻んだフロントグリル、垂直に立つフロントガラスと3本のワイパーが生み出すレトロな外観は、独特の存在感を放っていた。V6 4.0Lエンジンにパートタイム4WD、ビルシュタイン製ショックアブソーバーとリアデフロックを備えたオフロードパッケージは、見た目だけでなく走りの本気度も兼ね備えている。
FJクルーザーの商談は骨が折れる
ところが、このクルマを家族で乗るクルマにしようとすると、一気にハードルが上がった。最大の難点はリアドアの構造だ。2ドア風に見えるスタイリッシュなサイドビューは、内蔵式ピラーを持つ観音開きドアによって実現されており、フロントドアを開けないとリアドアが開かない。さらに前席のシートベルトがこの内蔵ピラーに固定されているため、後席への乗り降りのたびに前席の乗員がベルトを外す手間まで生じた。
子供にはウケの良かった面白い機構なのだが、試乗中に奥様がこの不便さに気づいた瞬間、商談の空気は一変する。維持費の高さ、マニュアル式エアコン、そして当時全盛だったエコカー補助金の対象外という事実が重なり、314万〜332万円という車両価格は、奥様の首を縦に振らせる材料にはなりにくかった。
それでも「どうしても欲しい」と言い続けたのは、FJクルーザーを気に入っているお父さんたち。猛反対にあうもあきらめず何度も「でも欲しい」と繰り返す。営業マンとしては、家族全員が納得できる着地点を探し続けなければならない、なんとも販売に苦労するクルマだったのだ。営業マンは家族の仲介役にまわる。
最終的に契約に至る時、お父さんの表情は「やっと欲しいクルマに乗れる」という安どの表情。苦労して手に入れたクルマへの想いは、ひとしおであっただろう。
営業マンとしては、非常に骨の折れる商談だったが、家族全員と深いところまで話ができるクルマなので、アフターフォローがしやすいクルマであった。クルマを通じて、家族全員と繋がることのできる、不思議な魅力を持っていたのがFJクルーザーだ。





























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