BEV一択の崩壊!! 世界が再びハイブリッドに向かう納得すぎる理由

BEV一択の崩壊!! 世界が再びハイブリッドに向かう納得すぎる理由

 かつて「時代遅れ」とまで言われたハイブリッド車が、いま再び脚光を浴びています。欧州メーカーはBEV一本化路線を相次いで修正。規制を主導してきたEUもその路線を見直しつつあります。

 世界で何が起きているのか。そして日本メーカーが磨き続けてきたHEV技術は、なぜいま再評価されているのでしょうか。

文:吉川賢一/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、Adobe Stock

【画像ギャラリー】驚異の低燃費!! WLTCモード36.0km/Lを達成するトヨタ「ヤリス」と30.8km/Lの「ヤリスクロス」(23枚)画像ギャラリー

「2030年完全EV化」を撤回! 欧米メーカーが直面した生々しい現実

 一時期は、バッテリーEV(BEV)への移行が大きな潮流として語られていた自動車業界。しかしいまその流れには変化が生じており、かつて「2030年までの完全BEV(内燃機関の廃止)」を掲げていた欧州の主要メーカーの中には、その方針を撤回・修正し、再びガソリンエンジン車やハイブリッド車(PHEV含む、以下HEV)の製品開発を継続する路線へと方向修正をしています。

 国内メーカーでも、2040年までの「脱ガソリン」を掲げていたホンダは、北米向け次世代BEV「0シリーズ」の一部車種の開発中止や、ソニーとの共同開発車「アフィーラ」の計画見直しを進めるとともに、今後3年間で4.4兆円規模を内燃機関やHEV関連技術へ投資する方針を示しています。

 こうした背景にあるのが北米市場でのHEVの需要拡大です。北米ではBEV購入時の税額控除の縮小や見直しが進んだことで、高額なBEVの販売が伸び悩んでおり、米国メーカーが開発したピックアップトラックのBEVも、補助金なしでは高すぎるとして一時期は在庫が溢れかえったと報じられています。メーカー各社は改めて市場の現実と向き合うことになったのです。

 規制を主導していたEU自体も2035年までにエンジン車の販売を事実上禁止する方針を見直し、2023年3月、合成燃料(e-fuel)の専業車に限り、2035年以降も新車登録を認める法案が正式採択されました。背景には、自動車産業の空洞化に対する懸念や雇用への影響、中国メーカーの台頭という誤算、またEU内でのインフラ格差への配慮など、政治的な思惑が影響していますが、少なくとも、「BEVだけが未来」という単純な構図ではなくなってきたことは間違いありません。

ボルボ「EX30」。全長4,235mm×全幅1,835mm×全高1,550mm、一充電航続距離は最大560kmのコンパクトなBEVだ
ボルボ「EX30」。全長4,235mm×全幅1,835mm×全高1,550mm、一充電航続距離は最大560kmのコンパクトなBEVだ

ガソリン車との価格差はわずか20万円!? 「元が取れる」最新HEVの経済性

 一方で、日本メーカーのHEVは着実な進化を続けてきました。かつては、車両価格が高くなりがちだったものの、現在では量産効果によって製造コストが低下し、ガソリン車との価格差は20万円から30万円程度に収まるモデルも増えています。

 燃費性能も大きく向上しました。トヨタ「ヤリス」のHEVはWLTCモードで36.0km/L、「ヤリスクロス」のHEVも30.8km/Lを達成。車重2トンを超えるアルファードでさえ18.9km/Lという優れた燃費性能を実現しています。

 車両価格の低下と燃費性能の向上によって、年間1万km程度の一般的な利用でも数年で差額を回収できるケースが多く、経済性の高さが改めて評価されています。

 技術が成熟したことで、走りにも磨きがかけられました。ホンダの新型プレリュードに採用された「スポーツe:HEV」は、モーター主体の滑らかな走りをベースとしながら、「Honda S+ Shift」によって仮想8速ATのような変速フィールを再現。エンジンサウンドやメーター表示とも連動し、まるで有段トランスミッション車を操っているかのような一体感を実現しています。

 日産も新型「エルグランド」に搭載される第3世代e-POWERで、発電専用エンジンの効率向上によって高速燃費や静粛性を大幅に改善。モーター駆動ならではの滑らかな走りをさらに磨き上げています。

 燃費は優秀、充電の手間はいらない、さらに走りはBEVに迫る滑らかさを備えている。こうした現実解としての総合力の高さが、HEVが再び注目される理由となっています。

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次ページは : 「BEV一本化」の幻想が解けた今、日本メーカーの“ブレない技術”が世界を制する

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