今回、テクニカルセンター下山で1.6L試験車と2Lターボ搭載車に試乗・同乗する機会を得た。ミドシップ4WDならではの軽快な旋回性能に加え、新開発2Lターボが生み出す圧倒的な加速性能はまさに別次元。GRブランドの未来を担うスポーツカーの実力に迫る。
※本稿は2026年5月のものです
文、予想CG:ベストカー編集部/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年6月26日号
セリカの「開発車」に試乗
GRのブランド価値を向上させるには、GRヤリスとGR GTの間に、魅力的なスポーツカーが必要だ。そこにはまる一番のモデルはやっぱり“セリカ”だ。
新しい2Lターボエンジン+4WDというだけではもの足りない。トヨタもいまだものにしたことがないミドシップ4WDを開発することで、挑戦するGRというブランドヒストリーが紡がれていく。きっとGRの狙いはそんなところにあるのではないだろうか?
さて、テクニカルセンター下山で試乗したのは初期段階の1.6Lの開発車。GRヤリスの25式とともに乗った。
まずはGRヤリスの25式。自由に乗っていいというので、定常円でアクセルを踏んでいく。自分ではしっかりとカウンターを当てているつもりだが、微妙なアクセルとステアリング操作が足りないのだろう(自覚あり)、アンダーが出てしまう。
続いて1.6Lの試験車に乗る。走り出しからリアにトラクションがかかる新鮮な印象。ミドシップの代表格であるポルシェのケイマンのような、リアからドンと押し出されるような感覚とは違い、軽やかに、そしてスムーズに加速していく。定常円でもアクセルコントロールがしやすく、グングン曲がっていく。
初期型は最高出力272ps、25式は304psだから32psもパワー差があるが、乗った感じは、試験車のほうが速い印象だ。おそらく自分が思い描くラインに近いイメージで走れているからだろう。
半面、アクセル操作がラフになると、オーバー気味になり、「ヤベ!」と冷や汗をかく場面もあった。それにしても1.6Lでもこんなに楽しいなら2Lはどんなものなのだろう?
2Lは規格外の速さ! DATもあるのがうれしい
舞台はテクニカルセンター下山の第3周回路に移る。ニュルブルクリンクサーキットを模し、4分の1のスケールにしたもので、全長約5.3km、高低差約75mの難コース。ガードレールには、いくつも黒くぶつかった痕跡が残っている。
このコースを開発ドライバーである佐々木雅弘選手のドライブで同乗試乗することが許された。
はたして搭載される2LエンジンG20Eの走りはどんなものなのか?
「暑いですからね。エアコンを使わせてくれないんですよ」と佐々木選手は笑いながらスタートする。すぐに佐々木選手は全開モードにスイッチ!
クルマには加速もブレーキングも、うねる路面ということもあって、もの凄い入力がかかるが、まったく悲鳴を上げることなく、次々とコーナーをクリアしていく。同乗する自分にも容赦なく後ろから爆音と熱風が襲いかかってくる。
しかし、この速さはいったいなんだろう? 速くて安定していて、横に乗っていても楽しさが伝わってくる。
もちろん1.6Lの数倍ポテンシャルが上がっている2LのG20Eエンジンは、社内測定値で400ps、450Nm(45.9kgm)とされるスペックだが「もっとパワーがあっていいでしょう」と佐々木選手は物足りないようだ。
「(運転の)上手い人がもっと楽しめるような味つけにしていきたい」と語る佐々木選手は、どこにもない唯一無二のスポーツ4WDを作ろうとしているようだ。
なお、テスト車両は前後のトルク配分を50対50から0対100まで可変させることもできることも教えてくれた。そして、どうやら苦労してきた熱対策もなんとかメドがついたようだ。
設計上余裕のないGRヤリスで熱対策が可能になれば、よりワイドでそもそもミドシップとして設計されるセリカなら、サイドからの空気を入れることができるから、きっと余裕で冷却することができるはず。さらにMTはもちろん、DATもしっかりと開発しているというから楽しみだ。
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