今に至る「スイフト」を確立した2代目
2代目スイフトは、ハンガリーでの生産台数が国内の生産工場の2倍という体制で、日本はもとより欧州とインド、オセアニア地域などで販売する車種として開発された。
試乗した印象は、まさに欧州のコンパクトハッチバック車の乗り味を直接的に伝えるクルマであった。走り味や性能に、多くの自動車ジャーナリストが感嘆の声を上げ、同年の日本カー・オブ・ザ・イヤーでモストファン(運転してもっとも楽しい)という特別賞を受賞している。
初代のマイナーチェンジから、より走行性能に徹したスイフトスポーツという車種が追加となったが、2代目でも継承され、これが現行の4代目まで根強い人気の支えの一つとなっている。
ほかに、モータースポーツの場面で初代から世界ラリー選手権のジュニアクラスなどへ出場を続け、スズキが走行性能にこだわりながら車両開発を続ける姿が印象付けられた。その点も、スイフト(海外ではイグニス)の位置づけを鮮明にしてきたといえるだろう。
軽さを武器に「正常進化」で時代に適応
2代目からの人気急上昇を受け、3代目はまさに正常進化といえるモデルチェンジを行った。あえていえば、3代目が一台でそこにいると、新車だと気づきにくいほど2代目のよさを実直に進化させていた。
2代目では荷室の容量などに不満があったが、そうした日常的な実用性を改善したり、上質さが加味されたりして、消費者の支持を着実に広げたといえる。
その実績は、3代目の時代に世界累計販売台数200万台超えを皮切りに、最終的には500万台突破を果たしている。
正常進化した3代目スイフトがいかに消費者の支持を世界的に得たか、またそれに資する玉成されたコンパクトハッチバック車であったかを明らかにした。そのうえで、2016年の4代目へのモデルチェンジされたのである。
4代目では、2~3代目と続いた外観の造形が大きく変更され、見るからに新しいと実感できるクルマになった。
また、スズキがHERTECT(ハーテクト)と呼ぶ新しいプラットフォームを採用したほか、軽自動車のワゴンRからはじまった電動化によるマイルドハイブリッドなど、スズキの登録車としての新たな取り組みを携えてのフルモデルチェンジとなった。
それらのなかで、運転をして感動をもたらす要因の一つに、車両重量の軽さがあると思う。もっとも軽量な車種で860kg、重い車種でもマイルドハイブリッドの4輪駆動車で970kgと、いずれも1トンを切っている。
過去20年ほどの間、衝突安全性能の高さを求め車体の大型化などから車両重量の増加が世界的に目立つ。最新のトヨタ ヤリスにおいても、ハイブリッド車は1トン超えであり、1.0Lのガソリンエンジン車でも940~970kgだ。
発売の年の違いによる衝突安全性能には差があるだろうが、それでも、軽くて剛性に優れるクルマの運転感覚は何にも代えがたい。
コメント
コメントの使い方スイフトの本質を見抜く記事、ありがとうございます。
スプラッシュなど、派生車種は廃止されてしまいましたが、今でもその実力を解ってくれる賢明なユーザーがいることは嬉しいです。次期型にも期待ですね。