改良でスイフトからターボエンジン搭載の実力派グレードが、ひっそり消滅! 廃止の理由とは?
スズキは、2020年5月15日、コンパクトハッチである「スイフト」シリーズの一部仕様変更を実施。先進安全運転支援機能の標準化で、これにより全グレードで「サポカーSワイド」と「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)認定車」に該当することになり、安全性能が高められたのは朗報だ。
しかし、同時に、グレード体系の見直しが図られ、スポーティグレード「RSt」が、なんと廃止に。本稿では、スズキに廃止の理由を取材し、ラインアップから落とされた理由を探りつつ、改めてその魅力を振り返りたい。
文:大音安弘
写真:編集部、SUZUKI
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スイフト初のターボモデルとして登場!
スイフトのスポーツグレード「RS」シリーズは、先代スイフト登場の翌年となる2011年11月に投入された特別仕様車で、スポーティに仕立てたエクステリアと欧州仕様と同様チューニングを施した足まわりなどを採用したスポーティモデルであった。
元々欧州風味の強いコンパクトカーだったスイフトの魅力が向上されたRSは、大好評に。2016年12月発表の現行型では、「RS」シリーズをカタログモデルとした。
現行型「RS」も、エアロ仕様のエクステリアに加え、欧州仕様の足まわりを組み合わせるなどの基本的な味付けは、先代から受け継ぐが、グレード展開を強化。
基本となる1.2Lの自然吸気エンジン仕様に5速MTを組み合わせる「RS」、同エンジンのマイルドハイブリッド仕様のCVT搭載車となる「ハイブリッドRS」そして、スイフト史上初となるターボエンジン搭載の「RSt」の3タイプを設定した。
高性能仕様となる「RSt」は、ダウンサイズエンジンである1.0L直列3気筒DOHCターボを搭載。スペックは、最高出力102ps/5500rpm、最大トルク150Nm/1700rpm~4500rpmを発揮する。
燃費性能は20.0km/L(JC08モード)とスポーティモデルとしては良好だ。トラストも欧州仕様に合わせ、CVTではなく6速ATとした点も大きな特徴であった。ただ、ターボ車ながら、レギュラー仕様とするなど経済性も重視したセッティングであった。
軽量化と高剛性化を両立させた新型スイフトをベースとした「RS」は、走りの良さにも定評がある。
その高性能版といえる「RSt」は、91ps/118Nmの1.2L自然吸気エンジンと比べ、ずば抜けた性能差はないものの、全域でフラットな最大トルクを発揮する扱いやすいターボエンジンに躾けられ、切れのある6速ATとのマッチングも良く、まさに身近なスポーティカーに仕上げられていた。
ベストカーでの評価テストでも、好意的に受け止められていた。まさに新生RSの魅力を、最大限体現したモデルであったといっても過言ではない。それでも消滅しなくてはならなかった背景には一体、何があるのだろうか……。
スイフトRStなぜ廃止? スズキの回答は
そこで「RSt」の廃止について、スズキ広報部に問い合わせてみた。
今回のグレードの見直しは、「複雑化したグレード構成のシンプル化し、効率を高めること」にあるという。新グレードでは、自然吸気エンジン車とそのマイルドハイブリッド車を「XG」と「RS」の2択に。上級グレードとなるハイブリッドは、エアロ仕様となる「SZ」を新設し、一本化されている。
しかし、「RS」と異なる走りの魅力を持つ「RSt」にも生き残る道はあったのではないだろうか。
すると、壁として立ちはだかる意外なライバルの存在が判明。なんとトップモデルである「スイフトスポーツ」の存在だ。
驚くべきことに、現在のスイフトの販売比率は、「スポーツ」がダントツのトップだという。希少なホットハッチとはいえ、特殊なモデルにも関わらずだ。
このスイフトスポーツの数は、6速MTと6速ATを組み合わせたものだが、圧倒的にMT比率が高いとのこと。希少となったMTスポーツの需要も担っていることが伺える。
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