一般的な乗用車が左右の車輪を別々に動かす独立懸架を採用するなか、ジムニーは前後とも左右輪を一本の車軸でつなぐ「3リンクリジッドアクスル式コイルスプリング」を守り続ける。一見古典的だが、岩場や深いわだちでは大きな武器になる。悪路に強い理由を探ってみよう。
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】悪路をグイグイ走るジムニーの走行ショットを大公開!(6枚)画像ギャラリー片輪が持ち上がると反対側を路面へ押し付ける
リジッドアクスルとは、左右の車輪を頑丈な車軸で直結した構造だ。左右輪が個別に上下する独立懸架とは違い、片側の動きが反対側にも影響する。
たとえば左輪が大きな岩へ乗り上げると、左側は上へ押し上げられる。その動きに合わせて車軸全体が傾き、右輪は路面へ押し付けられる方向へ動く。左右で高さが大きく異なる凹凸路でもタイヤが浮きにくく、4輪の接地を保ちやすいのだ。
タイヤが路面から離れてしまえば、そこへ駆動力を伝えても前には進めない。反対に、接地してさえいれば駆動力を使える可能性が残る。ジムニーのパートタイム4WDやブレーキLSDトラクションコントロールが力を発揮するうえでも、この接地性は重要だ。
また、車軸やデフが車輪と一緒に動くため、駆動系と路面とのクリアランスを安定して確保しやすい。ジムニーは最低地上高205mmを持つが、その数字を悪路で生かす土台となるのがリジッドアクスルなのだ。
シンプルで頑丈だから過酷な場所でも頼れる
名称にある「3リンク」は、タイヤの前後方向と横方向の動きを3本のリンクで規制することを示す。リンクで車軸の位置を保ちながら、コイルスプリングによって上下へ大きく動けるようにした仕組みだ。前後輪とも同じ基本方式を採用する点も、ジムニーらしいこだわりである。
構造がシンプルで、大きな力を頑丈な車軸全体で受け止められるのも強み。岩や段差から強い衝撃を受ける場面に向き、過酷な環境でも壊れにくい。世界各地で仕事の道具としてジムニーが使われてきた理由のひとつだ。
もちろん万能ではない。車軸やデフまで上下するため、タイヤと一緒に動く重量が大きい。片輪が受けた衝撃が反対側へ伝わりやすく、舗装路では独立懸架ほど滑らかな乗り心地や軽快な操縦性を得にくい。
それでもジムニーがリジッドアクスルを捨てないのは、快適性より接地性、頑丈さ、信頼性を優先する本格オフローダーだから。左右輪を一本でつなぐ古典的な構造は、時代遅れどころか、ジムニーの使命に最も合った現役のメカニズムなのだ。
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