ランドクルーザーFJという名前を聞けば、かつて大ヒットしたFJクルーザーの後継車だと思うのも当然だ。レトロな外観や本格四駆という共通点も多い。しかしトヨタによれば、両車は開発段階からコンセプトが大きく異なるという。似ているようで違う2台を徹底比較する。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
【画像ギャラリー】共通点も違いもある!? FJクルーザー、ランクルプラド、ランクルFJをイッキ見!(20枚)画像ギャラリー北米の若者向けだったFJクルーザーとは別モノ!
FJクルーザーは2003年のデトロイトモーターショーでコンセプトカーとして登場し、2006年に北米で発売された。若者のアクティブなライフスタイルを支える個性派SUVとして人気を集め、日本には2010年12月に導入された。
丸型ヘッドライトや「TOYOTA」ロゴ、ホワイトルーフ、直立したフロントウインドウなど、往年のランドクルーザーFJ40を現代的にアレンジしたデザインが最大の特徴だった。
左右の小さなリアドアが前後逆向きに開く観音開き構造も強烈だった。見た目は2ドアクーペのようだが、後席へのアクセスも確保するという遊び心あふれる設計である。防水・撥水シートや清掃しやすいラバー調フロアなど、アウトドアで遠慮なく使える装備も揃っていた。
いっぽう、2026年に発売されたランドクルーザーFJは、FJクルーザーのモデルチェンジ版ではない。ランドクルーザー300、70、250に続く第4のシリーズとして、新たに企画されたクルマである。
車名のFJにも「Freedom&Joy」という意味が込められた。北米の若者へ向けたFJクルーザーに対し、ランドクルーザーFJが目指したのは、世界各地の暮らしを支えること。より多くのユーザーがランクルを楽しめる、コンパクトで扱いやすいモデルという立ち位置だ。
ただし両車に血縁がまったくないわけではない。スクエアな車体、「TOYOTA」ロゴ、背面スペアタイヤ、本格的なラダーフレーム、テールランプの意匠、自由にカスタムできる設計など、その精神はしっかり受け継いでいる。
4L V6の豪快さから日常で扱えるランクルへ
ボディサイズを比べると、FJクルーザーは全長4635mm、全幅1905mm、全高1840mm。対するランドクルーザーFJは全長4575mm、全幅1855mm、全高1960mmとなる。
新しいFJは全長が60mm短く、全幅も50mm狭い。そのいっぽうで全高は120mm高く、より縦長でスクエアなプロポーションになった。最低地上高もFJクルーザーの230mmから250mmへ拡大している。
ホイールベースはFJクルーザーの2690mmに対して、新型FJは2580mm。110mm短縮されたことで、最小回転半径は6.2mから5.5mへ大幅に小さくなった。日本の住宅街や駐車場では、この0.7m差が効いてくる。
ドア構造も大きな違いだ。FJクルーザーの観音開きドアは個性的だったが、リアドアだけを開けることができず、狭い駐車場では後席へ乗り降りしにくかった。
新型FJは一般的な5ドアを採用し、後席には前後スライドとリクライニング機能を用意。荷室容量は後席使用時795L、格納時1607Lを確保する。毎日の買い物から家族旅行まで、実用性では新型が明らかに上だ。
いっぽう、エンジンの迫力ではFJクルーザーが圧倒する。搭載された4.0L V6ガソリンの1GR-FE型は、最高出力276ps、最大トルク380Nm。5速ATを介して約1.9トンの車体を豪快に走らせた。
ランドクルーザーFJは2.7L直列4気筒の2TR-FE型で、最高出力163ps、最大トルク246Nm。トランスミッションは6速ATとなる。力強さでは先代格のFJクルーザーに及ばないが、長年ハイラックスやハイエースなどで使われてきた、信頼性重視のエンジンだ。
悪路性能はどちらも本格派である。FJクルーザーはパートタイム4WDを採用し、オフロードパッケージにはリアデフロックを標準装備した。新型FJもパートタイム4WDと電動リアデフロック、ダウンヒルアシストコントロールを標準で備える。
豪快なV6エンジンや観音開きドア、ホワイトルーフという強烈な個性を楽しむなら、いまでもFJクルーザーは魅力的だ。いっぽう、取り回しや後席の使いやすさ、荷室、安全装備まで含めて日常的に使うならランドクルーザーFJが向いている。
ランドクルーザーFJは、FJクルーザーの直接的な後継車ではない。しかし「本物の四駆を自由に遊び倒す」という精神的な後継車ではある。豪快でクセの強いFJクルーザーを、世界でも日本でも使いやすいランクルへ再構成した。それがランドクルーザーFJなのである。
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