トヨタが2026年11月5日に発表した2027年3月期第2四半期決算で、見逃せない新戦略が明らかになった。ヤリスやヤリスクロス、カローラなどの次世代モデルが、同じプラットフォームを使う可能性が出てきたのだ。BEVからエンジン車まで対応する「マルチパスウェイプラットフォーム」とは何か? すでに明らかになっている新開発の1.5L直列4気筒ハイブリッドシステムとともに解説しよう。
文:ベストカーWeb編集部/ベストカーWeb編集部、トヨタ
トヨタの2027年3月期第2四半期決算は増収増益! 電動車比率は55.6%に拡大
トヨタ自動車は2026年11月5日、2027年3月期第2四半期決算を発表した。営業収益は前年同期比9.5%増の26兆9624億円、営業利益は同9.2%増の2兆1911億円となり、増収増益を確保した。親会社の所有者に帰属する当期利益も同26.1%増の2兆2364億円となった。
連結販売台数は475万8000台で前年同期比99.5%と微減だったものの、ハイブリッド車を中心とした堅調な需要や改善努力が利益を支えた。
注目したいのが電動車の販売実績だ。トヨタ・レクサスの小売販売台数505万9000台のうち、電動車は281万1000台。電動車比率は前年同期の46.7%から55.6%へ拡大した。
内訳を見ると、ハイブリッド車(HEV)が245万台、プラグインハイブリッド車(PHEV)が13万台、バッテリーEV(BEV)が23万1000台となっている。
BEVの販売も前年同期の10万1000台から大きく増えたが、やはりトヨタの屋台骨を支えているのはHEVである。
また、2027年3月期の通期営業利益見通しも、従来予想から5000億円引き上げて3兆9000億円に上方修正した。
そして今回の決算発表では、数字以上に興味深い話題があった。次世代車の開発を大きく変える、新しいマルチパスウェイプラットフォーム構想である。
え? 次期カローラもヤリスもヤリスクロスも共通化!? BEVからエンジン車まで対応する驚きの新戦略

今回の決算説明会でトヨタの宮崎洋一副社長が明らかにしたのが、A~Cセグメントの次世代車を1つのプラットフォームでカバーする構想だ。
トヨタはこれを「マルチパスウェイプラットフォーム」と呼び、従来の車両開発の枠組みを大きく変えようとしている。
■ヤリス(2020年2月~):TNGA GA‐Bプラットフォーム
■ヤリスクロス(2020年8月~):TNGA GA‐Bプラットフォーム
■アクア(2021年7月~):TNGA GA-Bプラットフォーム
■カローラセダン(2019年9月~):TNGA GA-Cプラットフォーム
■プリウス(2023年1月~):TNGA GA-Cプラットフォーム
現在のヤリスやヤリスクロスにはTNGAのGA-Bプラットフォーム、カローラにはGA-Cプラットフォームが採用されている。
ところが次世代の構想では、これまで別々だった小型車からCセグメントまでの車台を共通化するというのだ。
つまり、将来的にはヤリス、ヤリスクロス、カローラ、さらにはプリウスなども共通のプラットフォームを使う可能性がある。
ただし、今回トヨタが正式に発表したのはAセグメント(欧州市場のアイゴ/アイゴX)、Bセグメント(ヤリス、ヤリスクロス、アクア)~Cセグメント(カローラシリーズ、C-HR、プリウス)の共通化方針であり、これら個別車種への採用がすべて決定したわけではない。
さらに驚くのは、同じ基本構造でHEV、BEV、PHEV、そしてガソリンエンジン車などの内燃機関車(ICE)やカーボンニュートラル燃料対応車まで展開できるという点だ。
従来はBEVとエンジン車で異なる車体構造を用いることが多かったが、新しい構想ではBEVとしての性能や使い勝手を犠牲にせず、コンパクトなエンジンやハイブリッドシステムも搭載できる設計を目指している。
この発想を具体的に示したのが、「ジャパンモビリティショー2025」で披露されたカローラコンセプトだ。低いボンネットと流麗なフォルムを持ちながら、BEVだけでなく、さまざまなパワートレインに対応することを想定している。
共通化によって開発費や生産設備への投資を効率化できるほか、地域ごとの需要に応じてパワートレインの生産比率を調整しやすくなる。
とくに今回の決算資料では、アジアやグローバルサウスでの競争力強化策として位置づけられている。BEVが求められる市場にはBEVを、HEVが人気の地域にはHEVを、充電インフラが十分でない地域にはエンジン車を投入する。
これこそが、世界各地のエネルギー事情やユーザーのニーズに合わせて複数の選択肢を提供する、トヨタのマルチパスウェイ戦略なのである。





コメント
コメントの使い方