黄色いセンターラインを越えようとしたら切符を切られる?
問題になるのが黄色いセンターラインだ。
片側1車線の道路を走っていて、前方に自転車がいるとしよう。自転車との間に十分な側方間隔を取ろうとすると、自車の右側がセンターラインを越えてしまう。
対向車はいない。見通しもいい。
「ちょっと黄色い線を越えて自転車から離れたほうが安全じゃない?」
そう考えるドライバーは多いだろう。しかし黄色いセンターラインには「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」という意味がある。
道路交通法第17条第5項第4号では、道路の左側部分の幅員が6m未満の場合、一定の条件を満たせば追い越しのため道路の右側部分へはみ出すことが認められている。ただし、道路標識などによって「追越しのため右側部分にはみ出して通行すること」が禁止されている場合は別である。
それを示す代表的な道路標示が黄色いセンターラインだ。
しかも、この規定には「自転車を追い越す場合なら黄色いセンターラインを越えてもいい」という例外は設けられていない。
したがって、前方の自転車との間隔を確保するためであっても、追い越しのために黄色いセンターラインを越えれば「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の規制に抵触することになる。
ここがドライバーにとって非常に悩ましい。
自転車から十分に離れようとすれば黄色い線を越えてしまう。しかし黄色い線を守れば、自転車との間隔が狭くなる。間隔が十分に取れないなら速度を時速20~30km程度まで落とすことが目安になるが、交通量の多い道路では後続車が次々と詰まってしまうケースも考えられる。
実際、FNNが都内で調査した際には、自転車を追い抜くクルマの7割を超える車両が黄色いセンターラインをはみ出していたと報じられている。
つまり現実の道路では、「自転車との距離を十分に確保しようとするとセンターラインを越えざるを得ない」という場所が相当数存在するのである。
警視庁は都内1700カ所の黄色いセンターラインを白く塗りなおす方針
そこで動き出したのが警視庁だ。
報道によれば、警視庁は都内に約1700kmある黄色いセンターラインの区間について調査を開始。福生警察署では2026年8月、警察官が実際に自転車に乗って管内の黄色いセンターライン区間を1カ所ずつ確認したという。
そして警視庁は、都内の黄色いセンターライン区間の少なくとも約半数を、はみ出し可能な白線へ塗り直す方針だという。複数年をかけて対応していくとしている。
これはかなり大規模な見直しである。
そもそも黄色いセンターラインによる「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」は、対向車線にはみ出して追い越すことで発生する交通上の危険を防ぎ、安定した交通流を確保することを目的とした規制だ。
警察庁の交通規制基準では、左側部分の車道幅員が6m未満の舗装道路で、道路構造上危険な区間などが規制対象とされている。
ここで当然ながら疑問が出てくる。
「黄色から白に変えられるのなら、なぜ今まで黄色だったの?」
という話である。
もちろん、道路環境や交通量、クルマの性能、周辺環境などは時代とともに変化するため、過去に設定した交通規制を現在の実態に合わせて見直すこと自体はおかしくない。
警視庁も今回、現在の交通実態に即した規制になっているかを確認したうえで見直すとしている。
したがって「黄色い線の約半数を問答無用で白くする」という単純な話ではなく、それぞれの道路について安全性や交通実態を確認したうえで変更することが重要になる。
なおセンターラインは「白なら全部同じ」ではない。
白色の破線は、追い越しを含め、必要な場合には道路の右側部分へはみ出して通行することが可能だ。一方、白色の実線は、原則として右側部分へはみ出して通行できない道路で使われる。
黄色の実線は「追い越しのため」に右側部分へはみ出して通行することを禁止するものだ。黄色線だから道路右側へ絶対に1mmたりとも出てはいけないという意味ではなく、例えば道路工事や駐車車両などの障害物を避ける行為は「追い越し」とは異なるため、状況によって右側部分にはみ出して通行できる。
こうしたセンターラインの意味も、この機会に改めてドライバーへ周知する必要があるだろう。
そして何より重要なのは、黄色い線を白く塗り直したからといって「自転車がいたら自由に対向車線へ出て追い越していい」わけではないことだ。
白色破線になったとしても、対向車が来ているのに無理やりはみ出して自転車を追い越すのは論外である。対向車、自転車、歩行者など周囲の安全を十分に確認したうえで通過しなければならない。
黄色いセンターラインの場所で自転車との安全な間隔が確保できないのであれば、現時点でドライバーが取るべき行動はシンプルだ。無理に抜かないことである。
速度を落とし、安全に追い抜ける場所まで待つ。後ろからクルマが来ていると「早く抜かなきゃ」と焦ってしまうものだが、後続車からプレッシャーを受けたからといって交通違反や危険な追い越しが許されるわけではない。
自転車1台を追い抜くために事故を起こしてしまっては、まさに本末転倒である。


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