その心臓部&コスパに思わず感涙!? ニッポンの感動したクルマたち

■「安くていい」は日本車の得意ワザ コスパが光る今と昔のクルマたち(TEXT/渡辺陽一郎)

「今のクルマは高い」といわれるが、消費税も影響している。2004年4月から消費税を含む「総額表示」が採用され、それ以前の税抜き本体価格に比べて金額が増えた。今は消費税率が10%だから一層割高に思える。そこに安全装備も加わり、価格がさらに高まった。

 安全装備や各種機能との価格バランスは、以前よりも割安だが、額面を見ると高く感じてしまう。そこまで含めて割安な車種を取り上げる。2004年以前も多い。

 スポーツカーの筆頭は1999年登場のトヨタ「MR-S」だ。1.8Lのミッドシップオープンモデルで、価格はBエディションが168万円だった。ボディとサスペンションの取り付け剛性は低かったが(2002年に大幅改善)、当時の1.6Lを搭載するマツダ「ロードスターM」よりも約16万円安い。買い得なスポーツカーであった。

トヨタ「MR-S」。「ミドシップオープンスポーツ」という贅沢なクルマが168万円からというのはトヨタならではのコストパフォーマンス。直4、1.8 Lエンジンは140ps/
17.4kgmを発生していた

 2007年登場の日産「現行GT-R」にも注目したい。当初は粗削りだったが、V6、3.8Lツインターボと4WDの組み合わせは今と同じだ。危険回避を含めた走行安定性は際立って高い。それで価格は777万円。今のピュアエディションは1082万8400円だから300万円以上安い。当時のポルシェ「ボクスターS」と同等だ。走行性能と価格のバランスでは超買い得だった。

 1997年登場のホンダ「初代シビックタイプR(EK9型)」も、レカロ製シートなどを装着して199万8000円と安い。1トン少々のボディに、最高出力185psの1.6L VTECエンジンを搭載して、峠道では抜群に速かった。この性能で価格は1.6Lを搭載した当時のマツダ「ロードスター スペシャルパッケージ」と同等だ。

日産「GT-R」。2007年登場時、ベースグレードの価格が777万円だったGT-R。コスパ激高だった!
ホンダ「初代シビックタイプR」。1.6Lで185psの初代シビックタイプR。価格は199万8000円で、レースベース車は169万8000円の安さだった

 SUVではスズキ「3代目エスクード」が安い。後輪駆動ベースの4WDを備えるオフロードSUVで、副変速機も装着する。2008年の改良では、2Lエンジンを2.4Lに拡大した。「2.4XG」はアルミホイールなどの装備を充実させながら、価格は219万4500円だ。当時の2Lエンジンを搭載する日産「エクストレイル」のベーシックな「20S」より少し安い。2.4Lエンジンと本格的な4WDの搭載を考えると、非常に買い得だった。

 軽自動車では2008年登場のホンダ「5代目ライフ」だ。「G」は当時オプションの多かった4輪ABS、4.3インチ液晶カラー画面を備えたバックモニターも標準装着して、価格を103万4250円に抑えた。液晶画面のサイズが中途半端だったので開発者に尋ねると「ゲーム機のプレイステーションポータブルの画面を使った」と返答。渾身のコストダウンに心が震えた。

 この時代のホンダ車は買い得感が強く、2001年登場の「初代フィット」も格安だ。今と同じく燃料タンクを前席の下に搭載して空間効率を高め、1.3Lエンジンは2個の点火プラグを備えるi-DSI。最大トルクの12.1kgmを実用域の2800rpmで発揮した。実用装備を充実させた「A」の価格は114万5000円と安い。

スズキ「エスクード」。2005年登場の3代目エスクードは2008年のマイチェン車が印象的。2.4L+4WDでライバルエクストレイルの2Lベーシック車よりも安かった
ホンダ「5代目ライフ」。N-WGNの前身であるライフの最終モデル、5代目ライフもコスパが光った1台。「G」は装備充実で103万4250円だった
ホンダ「初代フィット」。室内の広さとコストパフォーマンスの高さで大ヒット車となった初代フィットは、充実装備の「A」が114万5000円だった。フィットの価格を見て、ヴィッツなどのライバル車が一気に値下げするほどの影響力だった

 現行車ではどうか。スズキ「アルト」は歩行者も検知できる衝突被害軽減ブレーキ、リチウムイオン電池を使うエネチャージ、各種の実用装備を装着して「S」の価格は108万1300円だ。ダイハツ「ミラトコット」は、衝突被害軽減ブレーキ、サイド&カーテンエアバッグ、バイアングルLEDヘッドランプなどを標準装着した「L・SAIII」を116万500円で用意する。

スズキ「アルト」。歩行者対応の自動ブレーキを装着しながら「S」の価格は108万1300円で、簡易装備のビジネス仕様「F」なら86万3500円という現行アルト。コスパもさることながら、価格の「絶対値」が安いのがアルトの伝統だ
ダイハツ「ミラトコット」。現行型ではパーソナル軽カーのミラトコットも安い! 特に自動ブレーキにサイドエアバッグまで標準装備の「L SAIII」の116万500円が光る。スマアシIIIが付かない最廉価仕様の「L」は109万4500円だ

 日産「リーフ X・Vセレクション」は、航続可能距離がWLTCモード走行で322kmと長く、運転支援機能のプロパイロットやEV専用カーナビも標準装着する。価格は405万6800円だが、申請すると42万円の補助金が交付され、実質価格はプリウスの最上級グレードと同等の約364万円に収まる。

 燃料電池車のトヨタ「ミライ」は、補助金が204万円と高額だ。補助金を差し引くと価格は約537万円。メルセデスベンツ「C180 アバンギャルド」と同程度の価格で、先進の燃料電池車を買えるのだ。

日産「リーフ」。2代目リーフは「X Vセレクション」が光る。補助金を引くと約364万円。ファーストカーで使えるEVとして破格の価格だ
トヨタ「MIRAI(ミライ)」。世界初の量産燃料電池車のミライは、車両価格こそ740万9600円だが、補助金を差し引くと約537万円。大型セダンとしては普通のガソリンエンジン車の価格としてもおかしくないくらいなのに、最先端の燃料電池なのだから、そのコスパは凄い

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