■車内温度をすばやく下げるためには?
暑くなった車内の温度を下げる方法で、昔からいわれているのが「空気の入れ換え」。助手席側(反対側でもいいが)のドアを前後とも全開にし、逆の運転席のドアを開けたり閉めたり10回ほど繰り返す。
実際に試してみると、実験直前に56.2℃あった車内温度がドアを開けただけですぐに3~4℃下がり、ドア開閉でさらに6~7℃低下、45.7℃まで下がった。10.5℃の低下で、これだけ下がればかなりラクだ。
エアコン操作も同じ理屈。暑いクルマに乗り込んだら、窓を全開にしてエアコンは外気導入が鉄則。
最低温度に設定し、ファンを全開にして空気を入れ換え、車内温度が安定したらウィンドウを閉めて内気循環に切り替える。これでエアコンの効きもよくなる。
■車内温度が上昇しやすい車、上昇しにくい車
文:渡辺陽一郎
夏場の場合、車内の温度が60℃を超えることも珍しくない。特に車内温度が高まるのは、ボディカラーが黒や紺など熱を吸収しやすい色彩だ。
黒いボディと光を反射する白ボディを比べると、10%程度、つまり60℃と54℃くらいの差が生じる。
内装も黒っぽい色は熱を吸収しやすい。シート素材では、表面温度は革シートが熱くなるが、ファブリック系のシートは内部のウレタンまで熱を持つから、車内がエアコンで涼しくなっても、乗員の暑さは和らがない。
インパネの上端やハンドルは、直射日光を浴び続けると、70~80℃に達することがある。これもシートと同様、黒っぽい色ほど温度が高まるが、ウィンドウの角度でも変わる。
クーペのようにフロントウィンドウが手前に位置して角度の寝ているボディ形状は、インパネの上端や車内が直射日光を浴びて熱くなりやすい。
逆にミニバンや背の高い軽自動車など、フロントウィンドウの角度が立っていて、なおかつ前方にせり出したボディ形状では、インパネやハンドルに日光が当たりにくい。となれば車内の温度も抑えられる。
サイドウィンドウの角度はどの車種も直立しているが、前後のウィンドウは角度の差が大きい。
リアウィンドウの寝ている3ドアクーペも、車内温度が高まりやすい。ただしリアウィンドウが寝ているクーペやセダンには、濃色ガラスを装着した車種が多い。
濃色ガラスでも熱の伝導は生じるが、直射日光が差し込みにくく、内装や車内の温度を抑える効果は期待できる。
以上から、暑さに強いクルマは、淡いボディカラーで前後のウィンドウができるだけ立っていて濃色ガラスを採用、インテリアも熱を吸収しにくい淡いカラーということができる。
■熱中症気味になったら飲み物の種類も大事だけど「飲み方」も大事
最後に、熱中症対策として普段我々は水、スポーツドリンク、お茶、何をどう飲めばいいか、という話をしておきたい。
環境省が発行した「熱中症環境保健マニュアル」のなかに「水分収支」というものが紹介されている。
われわれ人間は毎日、2.5Lの水分を体内に取り入れ、同じく2.5Lの水分を体外へ排出しているそうだ。支出分の2.5Lは呼吸と汗(1.2L)&尿と便(1.3L)として体外へ排出されている。
いっぽう、収入分の2.5Lは、食事(1.0L)&飲み水(1.2L)で、体外から取り入れられ、残り0.3Lが体内で独自に作られているそうだ。
普通の暮らしの中でわれわれが摂取すべき飲料は、1日あたり1.2Lというわけだ。では、これだけの水分をどのようなカタチで摂ればよいのだろうか。
ジュースや炭酸飲料にはかなりの糖分が含まれている。糖分の摂りすぎは高血糖や肥満につながりかねない。
普段の水分補給はミネラルウォーターやお茶など糖分を含まない飲み物で行うのが望ましい。
ただ、猛暑下で大量に汗をかいた時には、発汗量に応じて水分摂取量を上方調整するとともに、水分と一緒に失われた体内物質を補うことが必要となる。水だけでなく塩分や糖分を一緒に補給することが大切なのだ。
体に負担をかけない最適濃度は、塩分が0.1~0.2%、糖分が2.5~3%程度だという。熱中症の予防や応急処置で水分補給を行う時には、適量の塩分・糖分を含む経口補水液やスポーツドリンクを利用したい。
飲む時のポイントは、「ゆっくり、少しずつ」だ。一気に飲むと、しっかり吸収されずに排泄されてしまうらしい。「飲む点滴」をイメージして、ゆっくりチビチビ飲むようにしよう。
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