渋滞でエアコンが効かない!?? そんな時の奥の手「空ぶかし」で冷気が戻るってホント?

渋滞でエアコンが効かない!?? そんな時の奥の手「空ぶかし」で冷気が戻るってホント?

 真夏の渋滞で、もしエアコンが効かなくなったら…考えたくもないホラーだが、ちょっと古いクルマではよくあるトラブルだし、そうでなくても条件が重なれば発生しうること。そんな時、どうする? 以下、実際にトラブルに直面して、なんとか切り抜けた方法をお知らせします。

文/加藤久美子、写真/加藤博人、AdobeStock(アイキャッチ写真は@kichigin19)

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渋滞でエアコンが効かない理由は?

 炎天下での渋滞や信号待ちではエアコンが効きにくい。「アイドリングストップ機能」がついていると、渋滞ではエアコンは弱まり(ほぼ送風しか出ない)、車内の温度はみるみる上がって灼熱地獄となる。風量を上げても温度を下げてもあまり効果はない。最近のクルマはエアコン使用時に車内温度が30度を超えるとアイドリングストップが自動OFF(アイドリングストップしない)されるが、それでもすぐに冷気が戻るわけではない。

真夏の車内でエアコンを付けていないと、簡単に60度を超える。走行中に窓を開けられれば、まだ助かるが、渋滞となると…
真夏の車内でエアコンを付けていないと、簡単に60度を超える。走行中に窓を開けられれば、まだ助かるが、渋滞となると…

 なぜ渋滞時や信号待ちではエアコンが効きづらいのか。

 それはエアコンが冷える仕組みに「走行風」が大きく関わっているからだ。「走行風」とはその名のとおり、クルマが走っているときに受ける風のこと。カーエアコンは走行風の助けを借りてコンデンサーを冷やしながら作動するため、走行風がほとんど発生しない炎天下での渋滞ではコンデンサーを冷やすことができない。

 なお、コンデンサーとはコンプレッサーで圧縮された冷媒が配管を通して最初に送られる場所。高温高圧状態で送られてきたエアコンガスを、コンデンサーファンの風を使い冷却。強制的に熱を奪い、液状冷媒に変化させる。

 コンデンサーには熱伝導率に優れたアルミ製のフィンがついているが、これは表面積を広くとって放熱効果を高めるのが目的だ。このようにコンデンサーは走行風によって放熱効果を高めているので、渋滞時や信号待ちでの停止時は走行風による冷却ができない。コンデンサーを十分に冷やすことができなくなるので渋滞時にはエアコンが効きにくくなってしまうのだ。

車内エアコンを効率的に使うためには、始動時は外気導入→窓全開→(冷えてきたら)窓を閉めて内気循環、という操作手順がよい
車内エアコンを効率的に使うためには、始動時は外気導入→窓全開→(冷えてきたら)窓を閉めて内気循環、という操作手順がよい

 炎天下の道路上でのろのろ運転が続くと、アスファルトの照り返しや周辺のクルマの排気熱、エンジン熱などでクルマ周辺の気温や地面の温度は60~70度以上にもなる。

「空ぶかし」でエンジン回転数を上げて冷やすのはあり?

 渋滞時や停車時にエアコンが効かなくなった場合、どのような対処方法があるだろうか。

 高速道路上での大渋滞となると、日陰もない炎天下で熱せられたアスファルトの道路上には熱気をまとった大量のクルマがいるわけで、窓を開けても熱風しか入ってこない。

 そのような状況で唯一,ほぼどんなクルマでも特別な用意なしにエアコンの冷気を戻す手段といえるのは、「空ぶかし」だ。危険な暑さの中で応急的に冷却効果を得られる手段である。

 では空ぶかしをして2000回転近くまで回転数を上げるとどうなるのか。エアコンが正常なら涼しい風が出てくるはず。どういう仕組みか。

 ちなみに、筆者は7月の猛暑日に大阪にクルマで行ったのだが、この時のクルマが電気自動車(BEV)のボルボC40だった。原因はいまだわからないが、朝5時半頃から9時間以上、風は出てきたが、エアコンがまったく効かなかった(対処法があったことを後日知った)。

 仕方なく窓を開けて大阪までの高速道路を走ったが、C40はガラスルーフになっており、サンシェイドもなく遮熱性もあまりない。天井のガラス部分の温度は60度くらいの熱さになっていた。炎天下でエアコンが効かないことはここまで苦しいのか。窓を開ければ風が入ってくるから、渋滞時のエアコン効かない状態よりまだましだったのかもしれないが、時折めまいがするような暑さに見舞われた。

 話を戻して…。回転数を上げるとなぜ冷気が戻るのか。アイドリング状態でエアコンを使っていると、電気を発電するオルタネーターの能力が3-5割まで落ちる。そうするとバッテリーの中の電気がどんどん減って風を冷やすための電気が作動しなくなる。結果、風が生ぬるい状態になる。

 そこでエンジンの回転数を2000回転くらいまで上げてみると(つまり空ぶかし)、オルタネーターの発電能力が復活し、冷たい風が出てくるようになる。ほんの数分でも冷気で生き返ったような気持ちになる。

 エンジンの回転数をあげることでオルタネーターによる発生電流を増やして涼しくなるというわけだ。

 燃費が悪くなるのは仕方ないが、エアコンが効かない、走行風も入ってこない車内は地獄である。大切な家族を乗せているクルマならなおさら、暑さから命を守る義務がある。燃費どうのこうのとは言っていられないだろう。

 なお、いくつかの自動車メーカーやエンジン専門家に確認したところ、「エアコンから冷気をだすための空ぶかし」はクルマにとって悪い影響はないとのこと。具体的には以下の方法で試してみて欲しい。

(1)内気循環にする(熱い外気を入れないため)。
(2)シフトをNに入れてアクセルペダルを踏み回転数を2000回転くらいまで上げる。なおMT車の場合、ギアを入れてクラッチを踏んだ状態ではなく必ずニュートラルに入れてから回転を上げるように。クラッチを踏んだまま回転を上げるとクラッチ摩耗の原因になる。
(3)エンジンの水温計を見て、オーバーヒートに気をつけることも必要。

 一時的ではあってもエアコンの冷気が戻ってくれば車内の温度は下がり、気分もよくなるだろう。命を守るための応急措置として試してみてはいかがだろうか。

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