安全装備の一番手前 クルマのヘッドレスト 間違いだらけの使い方に注意

後席でこそ、大切な装置

 1960年代ごろまでは、ヘッドレストがついていないクルマも多かったのですが、日本では1969年に運転席のヘッドレストが義務化され、助手席に関しても2012年に義務化されました。

 装着していないと、道路運送車両法の保安基準違反となります。例えば、後部座席のお子さんが「ヘッドレストが邪魔で景色が見えない」と言っても、絶対に外してはなりません。

 追突されると、ドライバーだけでなく助手席や後部座席にいる人も、もれなく衝撃が加わります。そのため、義務化されている前席だけ、気にすればいい、というわけではありません。

ライズのリアシートにも人数分のヘッドレストが装着されている
ライズのリアシートにも人数分のヘッドレストが装着されている

 前席と比べて、周囲の状況が把握しにくく、身体を支えるものがシートベルトしかない後席は、無防備な状態でいることが多いため、追突に対して身構えることができません。義務化されてはいないですが、現在では、ほとんどの乗用車で、後席シートにも、乗車定員分だけヘッドレストが取り付けられています。

写真はタントのリアシート 軽自動車は人数分ついていない場合も

現在はアクティブヘッドレストが当たり前

 15年ほど前から、国内の各自動車メーカーが積極的に採用している「アクティブヘッドレスト」は、事故の際にヘッドレストを瞬時に前へ移動させる、というものです。

アクティブヘッドレストの作動イメージ(ホンダアコード)
アクティブヘッドレストの作動イメージ(ホンダアコード)

 「アクティブ」とはいっても、モーター駆動でヘッドレストを動かす、というものではなく、シートバックにかかる荷重を利用したシンプルなメカ式の構造ではありますが、随分前からこのように呼ばれています。

 日産によると、このアクティブヘッドレストによって、頚部への突き上げ力が約35%低減したほか、頭部後方移動の急激さを表す首の傷害指数がなんと約65%も低減した、とのこと。自動車メーカー各社は、このように日々研究・開発を行い、乗員の障害値を0.1%でも下げる努力をしています。

ホンダインサイトの例 ヘッドレストは適切な位置に調節して使用してほしい
ホンダインサイトの例 ヘッドレストは適切な位置に調節して使用してほしい

ヤリスは「ヘッドレスト一体型シート」

 今年2月に登場したトヨタのコンパクトカー「ヤリス」の主要グレード(「X」と「G」)は、ヘッドレスト一体型のフロントシートが採用されています。

ヤリスGグレードのフロントシートは、ヘッドレスト一体型となる ヘッドレストの機能的には問題はないが、シートバックが大きめになることも

 頭部までしっかりと高さのあるシートなので、衝突時の衝撃緩和には十分に役立つでしょう。また、一体型となれば、ユーザーが故意に外したりできない上に、調節機構を省くことができるため、コスト削減と軽量化も可能です。

 ヘッドレスト一体型の方がスポーティでカッコいい、というかたもおられますが、デメリットもあります。ヘッドレスト一体型のシートは、大柄な体格方の頭部位置にも対応するように合わせるため、シートの上下方向が大きく造られています。そのため、後席からは、前方に圧迫感を感じ、居住性が損なわれてしまいます。

 ただし、ヤリスのように、後席居住性を重要視しないクルマの場合、シート一体型は有効だといえるでしょう。

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