このところ、クルマ関連のニュースで話題になることのひとつに限定販売されるスーパーカーがある。
超が付くほどの高性能と刺激的なスタイリングに加えて、極めて少ない販売台数によってプレミア性を高め、数億円という途方もないプライスながら、発表と同時に完売になってしまうことも珍しくない人気ぶり。これは話題性があり、我々庶民の関心を集めるから記事化されるのだが、購入しても乗り回すオーナーは少ないようだ。
それは乗って見せびらかすために購入するのではなく、数年後に値上がりした時を見極めて売却して利益を得る投機目的で手に入れるから。富裕層の資産運用のひとつとしてスーパーカーは今や美術品と同じような部類になっているのである。
実際にスーパーカーを乗り回すとなると、それはそれで色々と障害があるものだ。保管場所の確保から、実用性の低さをカバーする工夫(セカンドカーや公共交通機関の使用など)、そして自動車保険である。クルマを日常的に使う上で自動車保険は欠かせない。
ところが、超高額なスーパーカーは自動車保険、取りわけ車両保険の加入が難しいというケースも珍しくない。それは何故なのか? 解説していきたい。
文/高根英幸
写真/HONDA、Adobe Stock
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■スーパーカーだけでなく 高額車両の保険加入は年々難しく
車両価格が億に届くようなスーパーカーではなくても、ポルシェやメルセデス・ベンツAMGなどの高級ブランドでは2000万円を超える高額車は珍しくなくなっている。このあたりのモデルは自動車保険に加入しようとすると、1000万円以下のクルマよりも契約のためのハードルが高くなっているのだ。
こうした高級車を手に入れられるオーナーは経済的な余裕があり、保険会社のほうもウエルカムだと思われるかも知れないが、実際には保険会社の判断はシビアなものなのである。
「現在は大手保険会社もリスク細分型になっています。同じ車種でもグレードによって料率が大きく変わることも珍しくありません」。そう語るのは首都圏で保険代理店を営むSさんだ。高額車の保険加入を含め、最近の自動車保険事情を教えてくれた。
「現在は車両価格1000万円以上のクルマを保険に加入する際には、事前に申請する必要があります」(S氏)。
通販型の自動車保険はそういった手続きがないため、保険契約を断られるケースも珍しくない。東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパンといった日本の大手損保会社は、ある程度の公共性を求められるため、リスクが高めの保険契約でも受け入れざるを得ないという部分があるのも事実なようだ。そのため保険料が割高に感じられることも多いのは、仕方ないという背景がある。
通販型などのコストを優先した自動車保険は、リスクが低いユーザーを集めることに積極的で、リスクの高いユーザーは断られるか、保険料が跳ね上がり事実上、ほかの保険会社を選ぶよう仕向けられているようだ。
「それでもスーパーカーや旧車などは、保険契約を結べる割合が低くなっています。保険会社の支店ごとにリスクに備えた金額の設定枠があり、支店長決裁でその枠内で保険契約を結んでいるんです」(S氏)
高額車両となると契約者の年齢や、車種による料率、自動車保険の等級といった通常の保険料を算出する要素以外にも駐車場の地域性や保管状態、直近の車種別リスクなどを勘案して、支店長がGOサインを出さなければ保険の契約ができない仕組みになっているそうだ。
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