パンク修理キットは万能ではない!! スペアタイヤのメリットとデメリット

 最近はパンクの際の対応にスペアタイヤを積まず、パンク修理キットで済ませるクルマが多くなっている。

 メリットがあるためパンク修理キットで済ませるクルマが多くなっているわけだが、パンクした際のことを考えるとスペアタイヤにも捨てたいメリットも多い。

 ここではスペアタイヤ、パンク修理キットのメリット、デメリットについて考えていく。

文:永田恵一/写真:平野学、ベストカー編集部、Adobe Stock

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スペアタイヤのデメリット解消のためにパンク修理キットが登場

 2000年代はじめまでパンクした際の対応は細いテンパータイヤをはじめ、純正と同じサイズのスペアタイヤを積むことがほとんどだった。

 もっとも、フェラーリのようにスペアタイヤが積めないクルマではパンク修理キットの場合や、スペアタイヤをバックドア背面に積むSUVやベンツなどでは標準装着タイヤをスペアタイヤに積むクルマもあった。

かつては背面タイヤ(スペア)を背負っている日本のSUVは多かったが、現在で標準装着されるのはジムニー&ジムニーシエラのみ

 しかし、時代の変化もありこの頃になるとスペアタイヤのデメリットもクローズアップされ、その背景として日本の道路環境がある。

 特に日本のような道路環境のいい国では舗装率が高く、道路に異物が落ちていることも減ったのに加え、タイヤの性能向上もあり、パンクに遭う可能性が非常に低くなった。

 平均するとパンクに遭う可能性は10年に一度程度だというが、実際はパンクをはじめタイヤトラブルの件数は増えている。

パンクをはじめタイヤトラブル時にスペアタイヤは重宝するが、重量増、ラゲッジのスペース効率のため激減している(madscinbca-stock.adobe.com)

 そう考えるとスペアタイヤは重量増、スペースを食う(スペアタイヤがなければ空いたところを収納スペースにも使える)というデメリットがある。

 さらにスペアタイヤは使われないままクルマを廃棄する際に同時に廃棄される場合が非常に多く、環境面への負担も指摘されていた。

 といった点を総合して2000年代後半からスペアタイヤの代わりとして、主にパンク修理剤(液体)と12V電源を使う電動空気入れから構成されるパンク修理キットへの移行が始まった。

軽自動車の場合ラゲッジのスペースが限られているため、スペアタイヤやテンパータイヤではなくパンク修理キットにすることのメリットは大きい

ランフラットタイヤが登場するも普及せず

 なお2000年代初めからはパンクしてもタイヤ側面でクルマを支えることで、80kmの距離を80km/hのスピードで走行できるという規格で開発されたランフラットタイヤが登場した。

 ランフラットタイヤは日産GT-Rのような300km/hでの巡航が想定されるクルマでは、パンクの際に加え超高速域での真円性(いかにタイヤが丸く回るか)の確保のため必要なものだ。

 しかしその反面、タイヤ側面の補強や重量増による乗り心地の悪化に代表される性能低下やコスト高というデメリットが、以前に比べればだいぶ克服されているにせよ否めず、今のところランフラットタイヤは普及していない。

パンクしても走れる夢のようなランフラットタイヤは、BMWが積極的に純正装着を推進しているほかは、装着車種は限定され普及が進んでいない

パンク修理キットのデメリット

 パンク修理キットはスペアタイヤと同様の最高速80km/hで、使用後は早急の本対応が必要となるものだが、実際にパンクした時を想定するとデメリットも少なくない。具体的に3つ挙げておく。

(1)使用できるケースが限定される
 パンク修理キットで対応できないパンクの範囲としてはホイールの損傷、タイヤの側面を破損した場合、トレッド面に4mm以上の穴が空いた場合などがある。

 そのためパンクの種類として意外にある小さな凹凸のある縁石にタイヤの側面を擦ってしまった、岩で側面を損傷したといったケースはパンク修理キットではお手上げで、その場の対応だけでも途方に暮れてしまうだろう。

 それがスペアタイヤなら交換すればとりあえず走行できるので、このメリットは大きい。

これはパンク修理キットが使用できないケース。仮にトレッド面に刺さっていた場合でも、穴の大きさが4mm以下かという判断は難しい

(2)使用するとそのあと手間とお金がかかる
 スペアタイヤもパンク修理キットと同様にあくまでも応急処置で、早急に本対応が必要なのは同じだ。

 スペアタイヤを使った場合にはパンクによる損傷度合いが小さく、走行するスピード域が比較的低いクルマであれば、タイヤ交換ではなく安価なパンク修理という対応も考えられる。

 しかしパンク修理キットを使った場合は、パンクした際部分に修理剤を流し込んでいるので、本対応としてタイヤ交換するしかない。

 さらにパンク修理キットを使うと、パンク修理剤で汚れたホイールを洗う手間というのもかなりの労力(≒費用)だ。

パンク修理キットは付属の液体をタイヤのバルブから注入。この液体が充填されることで走行できるようになるが、基本タイヤ交換が必須になり、洗浄も面倒

(3)定期的な交換が必要
 スペアタイヤもイザというときに空気が抜けていると使えないので定期的な空気圧の確認が必要だが、クルマを一度買えばスペアタイヤを買い換えるということは滅多にないだろう。

 しかしパンク修理キットはクルマや商品によっても異なるが、おおよそ2年から6年という使用期限があり、定期的な交換と費用が必要だ。

パンク修理キットは液体(写真左)と電動のエアコンプレッサー(写真右)がセットになっているが、液体は2~6年で交換が必要になる

 といった具合にパンクの際にパンク修理キットを使用するにあたり、不安や手間は捨てきれない。

 その点、スペアタイヤはこれらの手間がなくある意味手軽に交換することができる。

 スペアタイヤには前述したデメリットがあるが、パンク修理キットのデメリットからもだいぶ解放されることが、スペアタイヤの捨てがたいメリットとなる。

スペアタイヤは収納スペースはとるが、手軽に装着できるのが最大のメリット。路肩で交換する場合は、三角表示板を出すことをお忘れなく

スペアタイヤのないクルマにスペアタイヤを積むにはどうする?

 パンクの対応にスペアタイヤとパンク修理キットのどちらを使うかは人それぞれだが、「パンク修理キットがスタンダードのクルマにスペアタイヤを積みたい」という場合にいくつか方法がある。

標準サイズと同じスペアタイヤに対し、細く軽い応急処置的なタイヤがテンパータイヤで、1万円程度でオプション設定しているクルマは多い

 まず新車を買う際であれば、1万円程度のメーカーオプションでテンパータイヤが設定されるクルマはそれなりにあるので、オーダーすればいい(トヨタセンチュリーは5万4450円のメーカーオプションで標準装着タイヤがスペアタイヤとして設定される)。

 中古車やすでに乗っているクルマでスペアタイヤを積むスペースがあるクルマなら、ネットオークションなどでそのクルマのスペアタイヤを買うというのが賢いだろう。

86/BRZはスペアタイヤがオプション。写真はスペアタイヤレスの状態。少しでも軽くするためにレス仕様とする人は多いが、あればいざという時に助かる

 個人的な経験では今筆者が乗っている中古車で買ったトヨタ86はスペアタイヤはメーカーオプションなのだが、買った中古86にはスペアタイヤが付いており「ラッキー」と思った。 

 対照的に現在納車待ちのGRヤリスはパンク修理キットで、スペアタイヤの設定もないので若干の不安を感じている。

まとめ

 パンク修理キットに比べるとスペアタイヤはお手軽なのが最大のメリットだ。ただ、注意すべきこともある。

 パンク修理キットのクルマなら電動空気入れも付属されるが、スペアタイヤのクルマで電動空気入れを持っていないというケースは多い。

 前述したスペアタイヤに空気が入っていなかった場合や釘などが原因のパンクで、幸いにして釘などが栓のようになってユックリと空気が抜けるスローパンクチャーと呼ばれるケースには、空気を指定の1.5倍ほど入れるとしばらく走れることもあるので、電動空気入れはクルマに常備したいアイテムだ。

 スペアタイヤ、テンパータイヤをいざ使おうという時にエア抜けというトラブルを防ぐために、タイヤの空気圧チェックを習慣づけて、その際にスペアタイヤ、テンパータイヤの空気圧もチェックするようにしたい。

スペアタイヤがせっかくあっても、使おうとした時に空気が入っていない、というのでは宝の持ち腐れ。空気圧チェックをする時はスペアタイヤも忘れずにチェック

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