スマートキー普及のはずが年間15万件発生!! なぜか減らない「キー閉じ込み」事情

■スマートキーが動作不能、あるいはキー閉じ込みしたらどうする?

 見た目はリモコンにしか見えないスマートキーでも、実は非常時のために従来のメカニカルキー(従来の金属製のキー、エマージェンシーキーとも呼ばれる)が内蔵されている。それを使って解錠すれば、ドアだけは開けることができるのだが、車種によってはデザイン性や防犯性のために、鍵穴を隠しているクルマもある。

多くのメーカーのスマートキーには、メカニカルキーが内蔵されている。VWのようにワンタッチで出てくるものもあれば、キーの横にあるロックを外して引き出すことで使えるようになるものもある(New Africa@Adobe Stock)

 クルマがバッテリー上がりを起こしてしまうと、ドアのアンロックができなくなるため、ボンネットを開けてのバッテリー交換もできなくなる。そのためバッテリー上がりでも、セーフティローダーなどでディーラーにクルマを運んで対応するケースもあると聞いている。最近のクルマは、メカニカルキーがなければ解錠はディーラーでも対応できない(ディーラーから鍵屋に外注として依頼する)のだ。

 JAFではテクニカルセンターで鍵穴の場所や解錠の方法を情報として共有しており、ロックスミス(錠前屋)用に開発された特殊な道具も用意して、解錠のために備えているそうだ。ピッキングは犯罪に使われる行為でもあるが、本来はキー閉じ込みなどオーナーが困った時に活用される技術なのである。

 メカニカルキーでドアを解錠できたら、スマートキーをエンジンのスタート/ストップボタンに近付ける。こうすることで電力が弱っていても送受信が可能になり、エンジンを始動することができるようになっている(車種により異なる場合あり)。

もしスマートキーの電池が切れた場合でも、スタート/ストップボタンにスマートキーをくっつけると、エンジン始動が可能になる(tarou230@Adobe Stock)

 万が一の備えとしては、鍵穴の場所を調べておく(取り扱い説明書を参照)ことと、予備の電池をグローブボックスに入れておくことだ。そうすれば、電池切れでスマートキーが使えなくなった時にはメカニカルキーでドアを解錠して、電池を交換することにより再び使えるようになる。

 最近のスバル車は暗証番号を登録しておけば、ドアノブの操作で入力して解錠できるようだが、それも取り扱い説明書を読んで熟知していなければ、イザと言う時には使えないだろう。

 これからスマートキーはますます進化して、スマホと一体化するようになる、と言われている。そうなったらスマホが故障したらドアが開かない、エンジンが掛からない、なんて事態に陥ることも有り得る。便利さだけを享受せず、万一のハプニングに備えておくようにしたいものだ。

【画像ギャラリー】メカニカルキーを使う時に慌てたくない! 一見するとドアノブに鍵穴がないクルマ どこにある!?

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