大幅改良を受けたスバル「XV」が、2020年10月8日に発売される。
現在日本ではコンパクトSUVとミドルサイズSUVが人気となっている。ことコンパクトSUVに関しては空前の激戦区であり、トヨタ「ヤリスクロス」や「ライズ」、日産「キックス」など強力なライバルがひしめいている。XVは同一カテゴリーと言えなくもないが、我が道を行く、を貫き健闘している。
そんなXVだが、マイルドハイブリッドの「e-BOXER」を変わらず設定するものの、大幅改良に合わせてのPHEVの投入は見送られることとなった。ライバルが燃費性能に優れるストロングハイブリッドや、環境性能を前面に打ち出したPHEVを投入するなか、その独自のポジションを守ることができるのだろうか?
文/岡本幸一郎
写真/SUBARU
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■派生モデルから独立! 堅調な販売を続けるモデルに成長
実は北米専売で、アウトバックの弟分的な位置づけで、インプレッサにSUVテイストを与えた「アウトバックスポーツ」というモデルがもともとあった。やがてSUVブームが世界的になり、徐々にサイズの小さいクラスまで波及していく中で、グローバルモデルとして再スタートを切ったのが2010年のこと。当時のスバルはそれほど深く考えていたわけではなかった気もするが、結果的には先見の明があったといえそうだ。
2012年の2世代目では車名からインプレッサが外されて「XV」となり、見た目も独自性が格段に高まった。初代ではベース車と同じ155mmだった最低地上高が200mmまで高められたことや、それでいて全高1550mm以下を維持(ルーフレール非装着時)したのが特徴だ。
この頃になるとSUVブームの波は日本にも押し寄せ、コンパクトクラスのクロスオーバーSUVを各社がラインアップするようになり、市場の動向は大きく変わった。
2017年に現行の3代目が出た頃には、周囲は競合しそうなクルマだらけになり、コンパクトSUV市場は激戦区と化していた。それでも2代目のコンセプトをキープしつつ基本骨格にSGPを得たXVは走りの質が格段に向上し、これまで築いてきた土台もあって概ね堅調に売れた。
XVの日本デビューから10年で自動車市場の様相がすっかり変わったのは、月販目標台数が初代は200台と控えめだったところ、2代目では1000台と一気に5倍増、3代目ではその倍以上となる2200台と増えていったことにも象徴される。初代が出た当時はよもやこちらが主流になるとは思いもよらなかったものだ。
2200台という数字は、現行インプレッサの2000台よりも多い。実際にもこのところコロナ禍で市場は正常な状態ではないが傾向は掴めるのでお伝えすると、2020年4月~8月の販売台数は、インプレッサの4579台に対し、XVは5683台と1.24倍を超える。しかも2019年秋にインプレッサが大がかりな商品改良を実施したのに対し、XVは小変更にとどまったにもかかわらず、この台数を達成しているのだ。
■着実な進化の新型! そして販売比率から見えるXVの現状
この9月にはそのインプレッサから約1年遅れて大幅改良を発表した。外観はバンパーやフロントグリル、アルミホイールのデザインが変更されてよりスポーティな意匠となり、走行性能面ではサスペンションの改良のほか、2リッター車にSI-DRIVEと協調するアダプティブ変速制御を新たに採用。安全面では見通しの悪い交差点等でドライバーの視界をサポートするフロントビューモニターを設定するなどした。
ボディカラーの設定も見直し、併せて内装色やシート表皮も一部変更した。詳しく知りたい人はリリースなどで確認いただきたいが、XVというとポップなカラーのイメージがあるところ、これまでの販売比率はホワイト、グレー、ブラックなどの無彩色系が圧倒的に高かったということを知り意外に感じた。
現行型のグレード別販売比率は、「1.6i」が2%と極めて少ないほかは、「1.6i-L」が29%、「2.0e-L」が25%、「2.0e-S」が18%、「アドバンス」が26%とかなりばらけている。
ハイブリッドも含め上級の2リッターモデルのほうがずっと販売比率は高いことや、アドバンスの出現により「S」の付くグレードの位置づけがやや中途半端になったせいか若干低めとなっていることが見て取れるが、そのあたりからもXVに期待されるものが何なのかが見えてくる。
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