■ライバルは強力! なれど独自のキャラクターは変わらず武器となる!!
クロスオーバーSUVにも専用ボディを持つものと、ベース車をSUVテイストにアレンジしたものがあり、多くは前者ながら後者も欧州の小型車を中心に存在する。後者に属するXVも、どうせ買うならハッチバックのインプレッサよりもXVをという層を取り込んでいるいっぽうで、少々高くても付加価値を求めるユーザーも多く、両極化しているように見受けられる。
そもそもXVは価格の数字だけ見るとスペックの近いホンダ「ヴェゼル」やトヨタ「C-HR」に対して割高感を覚えそうな気もするところだが、それは全車AWDであることや、車格自体がやや上に位置することが要因といえる。
半面、AWDに強いイメージは、それはそれでXVの大きな武器となっているのは一連のスバル車と同じ。件の価格についても、むろん手ごろなサイズと価格、十分な性能と実用性を持ち合わせているのは大前提として、2リッター車にはマイルドハイブリッドが標準搭載されることもあり、充実した内容を考えると個人的にはコスパがむしろ高いように思えるほどだ。
ほかのスバル車にもないスポーツカジュアルな性格の持ち主であるところも強み。老若男女問わずとっつきやすく感じられそうな雰囲気を持っている。奇抜すぎるC-HRに乗るのは躊躇するが、かたやオーソドックスなヴェゼルでは物足りないという人にも、ほどよく独自性を備えたXVのキャラクターは受け入れられることに違いない。
参考までに、少し前まで売れまくっていたヴェゼルとC-HRの同じ2020年4月~8月の販売台数は、いずれも旬を過ぎたクルマとはいえ、それぞれ1万1214台/1万0271台と1万台を超えているのはさすがだが、XVのダブルスコアには達しておらず、XVも健闘しているといってよいかと思う。
一方で、2018年に現行型になった兄貴分のフォレスターが同7457台というのも立派。その点ではXVももう少し数を伸ばしてもよい気もするので、大幅改良後の動向を見守りたい。
なお、北米で販売されているPHEV版が大幅改良を機に日本国内にも導入されるのではないかという憶測もあったが、スバルとしては各国の環境規制やニーズを踏まえて商品展開を判断しており、現在のところ国内に導入する予定はないという。日本にもPHEVがあればそれなりに売れそうな気もするところだが、むろん費用対効果の問題もあり、現状ではe-BOXERがあれば十分と考えているようだ。
かたや他メーカーの車格の近い車種の動向は、電動駆動の要素を取り入れたクルマが勢いを増しているのは明白だ。三菱「エクリプスクロス」はPHEVを追加予定で、新顔のトヨタ「ヤリスクロス」は本格的ハイブリッドがメイン、日産「キックス」はe-POWERのみ、マツダ「MX-30」はマイルドハイブリッドを前面に打ち出し、同クラスの輸入車勢も電動化に力を入れたものが多く見受けられるようになってきた。
XVは今後ますますこうした多様な各社のライバルたちを相手に戦っていかなければならなくなるわけだが、そのとき武器になるのは、やはりどこまでいっても持ち前のXVらしさにほかならない。この独自のキャラクターに共感する人がこんなに大勢いるのだから、XVはあせる必要などまったくないように思える。
コメント
コメントの使い方