燃費良くても規制強化で廃止続出!! ディーゼルエンジンに未来はないのか

燃費良くても規制強化で廃止続出!! ディーゼルエンジンに未来はないのか

 ディーゼルエンジンを搭載した乗用車がピンチに立たされている。

 理由はクルマの燃費規制がエンジンだけではクリアできそうになくなって、モーターと組み合わせたハイブリッドが必須となってきたからだ。

 しかし、「クリーンディーゼル」という呼び方もあるように、これまでディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンより燃費が良く、最近ではかつて問題となった窒素酸化物も少なくなってきているともいわれてきた。

 欧州メーカーではディーゼルエンジン車のラインナップを廃止する例が相次いでいるが、果たしてディーゼルエンジンに未来はあるのだろうか。

文/高根英幸
写真/Photo by Victor Decolongon/Getty Images for Mazda Motor Co.、日産、マツダ、トヨタ、BMW、Mercedes-Benz

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そもそもディーゼルエンジンの特長や優位性は?

 エンジンだけの駆動力で走行するなら、ガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンのほうが環境性能は高い。

 それは空気だけを圧縮して、燃やすぶんだけの燃料を噴射すればいいディーゼルエンジンは熱効率(燃料の熱エネルギーをどれだけ駆動力として取り出せるか)に優れているから。ガソリンエンジンは基本的に燃焼室内の空気を完全燃焼させる必要があるためリーンバーンが難しいのだ。

 ガソリンエンジンのほうがドライバーのアクセルペダル操作に対する反応に優れ、高回転まで回るためスポーティなドライビングには向いている。

 だが、ル・マン24時間レースでのアウディの強さをご存じなら、実際の速さではディーゼルもヒケを取らず、トルクの太さから加速時の車体の反応性などガソリンエンジンを上回るドライバビリティを見せるなど、走りの楽しさも充分に備えている。

ヨーロッパではディーゼルエンジンを搭載した乗用車の割合が多く、MTとの組み合わせで省燃費とキビキビした走りを楽しむ(写真:MINI 60 YEARS EDITION)
ヨーロッパではディーゼルエンジンを搭載した乗用車の割合が多く、MTとの組み合わせで省燃費とキビキビした走りを楽しむ(写真:MINI 60 YEARS EDITION)

 そのため欧州ではディーゼルエンジンを搭載した乗用車の割合が多く、MTとの組み合わせで省燃費とキビキビした走りを楽しむドライバーが多い。

 燃費が良いということはCO2の排出量が少ないということだから、NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質=黒煙の主成分)を解決させれば、エンジンとしてはガソリンよりクリーンになる。

 最近のクリーンディーゼルは燃料の噴射と排気ガスの後処理装置で環境性能をクリアしているのだ。

ディーゼルとモーターによるハイブリッドの相性は高い!

 それでもガソリンエンジンとモーターのハイブリッドのほうが、クルマ単体の走行状態だけで見れば環境負荷は小さい。

 エンジンとモーターが補い合って走るハイブリッドは、減速時には惰性で走っている運動エネルギー(余ったエンジンの駆動力)をモーターが回生して電力として再利用するから、エンジン自体の効率だけでなく車体全体の効率で燃費を向上させることができる。

 ならばディーゼルエンジンにモーターを組み合せたディーゼルハイブリッドにすれば、より熱効率が高まってガソリンハイブリッドよりも環境性能も高まるハズ。

日本初のディーゼルプラグインハイブリッドとして導入されたベンツE350de
日本初のディーゼルプラグインハイブリッドとして導入されたベンツE350de

 昔から筆者はそう思っていたのだが、ディーゼルハイブリッドは極めて少数派なのである。どうしてハイブリッドはガソリンエンジンばかりなのか。それには大きく分けて、2つの理由がある。

 ディーゼルエンジンとモーターの組み合わせは、相性が悪いと思っているなら、それは違う。

 ディーゼルエンジンは低速トルクがあるから、モーターによるアシストの恩恵は少ないように思えるが、モーターがアシストすることでエンジンの負荷が減れば、加速時のNOxやPMの低減につながるので、排気の後処理システムの負担も少なくなる。

 クリーンディーゼルの場合、排気ガスを浄化するための装置が必要なだけでなく、高負荷時にはPMが多く発生するために、浄化装置であるDPF(PMなどの有害物質を除去するフィルター)の負担も増え、定期的なメンテナンスを必要とするようになるのだ。

 ハイブリッドにより高負荷時にはモーターによるアシストが加われば、こうした浄化装置の負担は減ってより耐久性も高まるハズだ。

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