燃費良くても規制強化で廃止続出!! ディーゼルエンジンに未来はないのか

ディーゼルとモーターによるハイブリッドの相性は高い!

 それでもガソリンエンジンとモーターのハイブリッドのほうが、クルマ単体の走行状態だけで見れば環境負荷は小さい。

 エンジンとモーターが補い合って走るハイブリッドは、減速時には惰性で走っている運動エネルギー(余ったエンジンの駆動力)をモーターが回生して電力として再利用するから、エンジン自体の効率だけでなく車体全体の効率で燃費を向上させることができる。

 ならばディーゼルエンジンにモーターを組み合せたディーゼルハイブリッドにすれば、より熱効率が高まってガソリンハイブリッドよりも環境性能も高まるハズ。

日本初のディーゼルプラグインハイブリッドとして導入されたベンツE350de
日本初のディーゼルプラグインハイブリッドとして導入されたベンツE350de

 昔から筆者はそう思っていたのだが、ディーゼルハイブリッドは極めて少数派なのである。どうしてハイブリッドはガソリンエンジンばかりなのか。それには大きく分けて、2つの理由がある。

 ディーゼルエンジンとモーターの組み合わせは、相性が悪いと思っているなら、それは違う。

 ディーゼルエンジンは低速トルクがあるから、モーターによるアシストの恩恵は少ないように思えるが、モーターがアシストすることでエンジンの負荷が減れば、加速時のNOxやPMの低減につながるので、排気の後処理システムの負担も少なくなる。

 クリーンディーゼルの場合、排気ガスを浄化するための装置が必要なだけでなく、高負荷時にはPMが多く発生するために、浄化装置であるDPF(PMなどの有害物質を除去するフィルター)の負担も増え、定期的なメンテナンスを必要とするようになるのだ。

 ハイブリッドにより高負荷時にはモーターによるアシストが加われば、こうした浄化装置の負担は減ってより耐久性も高まるハズだ。

なぜハイブリッドはガソリンエンジンばかり?

 だが、ディーゼルエンジンの場合、前述の排気ガスの後処理装置や、ターボチャージャー、高応答性なインジェクターや高圧の燃料ポンプなど、クリーンディーゼルとして仕上げるにはガソリンエンジンよりもかなり高価な部品が必要。エンジン単体で見た場合、ガソリン車よりも生産コストが掛かってしまう。

 さらにハイブリッドとすると、パワーユニットとしてのコストは車両価格を押し上げてしまうため、価格競争力が低下してしまう。つまり、高すぎて売れないクルマになってしまう可能性が高い。

 これまではエンジン単体で燃費性能を魅力として訴求できたディーゼル車だから、ハイブリッド車と並んで消費者の選択肢に入ってきたが、価格が上昇すれば燃料費が安いというメリットは薄れ、ガソリンハイブリッドに対して優位性がある要素はかなり減ってしまう。

 今まで以上に年間の走行距離が多いオーナーしか、恩恵を受けにくくなってしまうのだ。

ディーゼルエンジンから、クリーンディーゼル、ハイブリットに派生させるにはコストが掛かりやすい。さらに燃料費が安いディーゼルエンジンのメリットが薄れてしまう
ディーゼルエンジンから、クリーンディーゼル、ハイブリットに派生させるにはコストが掛かりやすい。さらに燃料費が安いディーゼルエンジンのメリットが薄れてしまう

 ディーゼルハイブリッドが普及しにくいもう一つの理由は、ディーゼルはエンジンの断続的な運転が苦手、という特性だ。空気を圧縮して高温にすることで燃料を燃やすディーゼルでは、燃焼室の温度が重要なのである。

 現在のクリーンディーゼルではアイドリングストップを実現できるほど、開発エンジニアの努力によりこの弱点も解消されつつある。

 しかし、ガソリンハイブリッドでもエンジン稼働時間の少なさは、エンジンオイルに対して厳しい環境だ。

 さらにエンジンオイルが黒煙で汚れやすいディーゼルにとって、ハイブリッド化によるエンジンの断続運転の増加は、オイルの劣化を招き、エンジンの消耗を早めてしまう可能性がある。

 こうしたディーゼルエンジンの弱点を理解した上で、本当にディーゼルエンジンに将来性はないのか、考えてみることにしよう。

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