ひと口に『日本車』と言っても、世界各国に向け、さまざまなバリエーションが存在し、なかには“日本にはないエンジンが搭載された日本車”もあるのをご存じだろうか。スカイラインやシビックなど、日本では味わえないエンジンや技術を持った車は多数存在する。
文:編集部、山本シンヤ
ベストカー 2018年1月26日号
北米スカイラインには日産製ターボを積む高性能仕様も!
アメリカ向けの日産 スカイラインは、インフィニティQ50として販売されているが、日本のスカイラインにはないV6、3Lツインターボエンジン搭載モデルが設定されている。
このエンジン、V6、3.7Lエンジン(NA)のリプレイスとして新開発されたものなのだが、2997ccの排気量から401ps/6400rpm、48.4kgm/1600‐5200rpmという強烈なスペックで、これはBMW340iの直6ターボよりもハイパワー。
現在日本国内仕様のスカイラインには3.5L、V6ハイブリッドと2L直4ターボが搭載されているが、ファンとしては俄然400馬力の3Lツインターボの走りを味わいたいところ。まさに、スカイラインの原点ともいえるスポーツセダンそのものというべきエンジンだ。
しかも、2Lターボはベンツ製エンジンなのに対し、この3L、V6ツインターボは日産がオリジナルに開発し、福島県のいわき工場で生産されているのだから、なおさら。
まさに、エンジンも車体の最終組み立ても日本国内なのに日本人のオレたちが乗れない「スカイライン」。スカイラインは12月20日にマイナーチェンジを実施してエクステリアをリファインしたのだが、残念ながらパワーユニットの変更はなかった。
同じエンジンを搭載するスカイラインクーペ(インフィニティQ60)の日本導入の動きもなく、ますます悶々とするのだ。
1Lターボ搭載の欧州シビックは『スポーツシビック』を思わせる軽快さ
グローバル化が進む日本の自動車産業のなか、我々日本人が味わえない日本車のメカニズムが数多く存在する。
まずトヨタ。北米仕様カムリの8割を占める2.5Lガソリン。熱効率40%を誇るダイナミックフォースエンジンの素の実力を味わうならコレ。海外向けのランクル200/70用のV8、4.5Lツインターボディーゼルもランクルベスト。
日産はインフィニティQ50/60用にV6、3Lツインターボを設定(先述)。米ロサンゼルスショーで登場したクロスオーバーQX50に搭載の可変圧縮エンジンなど、実は電動化だけに熱心ではないのだ。
そして、ホンダは欧州向けシビック用「直列3気筒、1L直噴VTECターボ」を筆頭に、中国向けアキュラCDXには「1.5L直噴VTECターボ+DCT」、アキュラTLXは「V6、3.5L+9速AT」、「直4、2.4L+8速DCT」と実はホンダらしさ全開なのだ。
実際に乗ってみてシビックの1L、直3ターボはとてもよかった。スペックは129ps/200Nmだが、数値以上の力強さはもちろん、ダウンサイジングターボでは数少ない自然なトルク感や軽快なレスポンスなど、久々にホンダらしさ全開のユニットである。
常用域では3気筒を忘れる静かさだが、アクセルを踏み込むと、3気筒の倍音……つまり6気筒のような豪快なサウンドも奏でる。
エンジンが軽いこともあり、日本仕様(1.5L)よりも軽快なハンドリングも特徴で、かつてのグランドシビック25XやスポーツシビックVTiのような、ボディサイズを感じさせない軽快な身のこなしと程よいスポーティなフィーリング。そう、かつてのホンダが戻ってきた感じ。
スバルは北米向けWRXに「FA20 DIT(直噴ターボ)+6速MT」、北米向けレガシィ/アウトバックには水平対向6気筒「EZ36」、中国向けアウトバックに「FA20・DIT」、欧州仕様アウトバック/フォレスターに絶品の水平対向ディーゼル「EE20」と日本のスバリストが羨むラインアップの充実っぷりだ。
【山本シンヤ】
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