待望の新車は次期RVR!? 名門パジェロの行方は? 三菱 復活への青写真と光明

 「ランサーエボリューション」や「パジェロ」など名門車の相次ぐ生産終了と待望の新車投入計画。岐路に立つ三菱の現状と今後は?

 登録車のフルモデルチェンジ車/新規モデルの投入は、2018年のエクリプスクロスに遡るいっぽう、軽自動車ではeKスペース/eKクロス スペースで日本カーオブザイヤーの部門賞にも輝いた2020年の三菱。その今後を、現在の商品=クルマや技術から占う。

文/御堀直嗣
写真/三菱自動車

【画像ギャラリー】三菱自動車を支える主力車種たち


■新車は控え目でも着実? 三菱の現状は

2020年3月に発売されたekスペース(写真左)とekクロススペース(写真右)

 三菱自動車工業が今年発表・発売した新車は、軽自動車のeKスペース/eKクロススペースと、エクリプスクロスPHEVだ。

 eKスペース/eKクロススペースは、日産自動車との協業によるNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)で開発されており、開発の中心となったのは日産で、三菱自は生産を担う。

 エクリプスクロスは、一昨年発売され、当時は1.5Lのガソリンターボ車のみであったが、これにプラグインハイブリッド車(PHEV)を追加したことになる。あわせて、外観などのマイナーチェンジを施した。発売2年目での追加車種と、改良となり、順当な進化ということができるだろう。

2020年12月投入されたプラグインハイブリッド「エクリプス クロス PHEV」

 ほかに、2019年はデリカD:5が外観を大きく変えるマイナーチェンジを行っており、動力をクリーンディーゼルに絞る統合も実施している。外観の変更は主にフロントグリル周りで、ほかの三菱車に通じるダイナミックシールドと呼ばれる造形の統一感がもたらされ、フルモデルチェンジかと思えるほどの変貌を遂げた。

 クリーンディーゼルエンジンは、出力のみならず、振動・騒音といった快適性も大きく改善され、日常だけでなく長距離移動でも乗り味を楽しめるミニバンとなった。ミニバンで唯一本格的4輪駆動である点も、三菱らしい商品性を備えた一台だ。

 三菱自らしいという理由は、現在、三菱は商品体系を電動化とSUV(スポーツ多目的車)の2本柱とする経営を進めている。それを体現した商品構成になっているからだ。

 エクリプスクロスは、アウトランダーとともにSUVであり、デリカD:5はミニバンとはいえパジェロ譲りの4輪駆動性能を誇る。

 また、エクリプスクロスとアウトランダーはともに、PHEVを選択肢に持ち、電動化の方針にも合致する。また衝突安全性能を高めるため登録車となったEVのi‐MiEVも、販売が継続されている。軽自動車のeKスペース/eKクロススペースはマイルドハイブリッドであるから、電動化の路線を外していない。そして将来的に、日産との協業の中で軽EVも登場するはずだ。

 派手さはないが、三菱は着実に商品構成を整えながら事業を進めている様子を知ることができる。

2019年にビッグマイナーチェンジを遂げたデリカD:5。「ダイナミックシールド」と呼ばれるグリルの造形が目を引く

■先見の明あったPHEV技術と日産との関係が今後の鍵に

 それでもなお、かつてパジェロがあり、ランサーエボリューションがありといった時代を知る消費者や、三菱ファンにしてみると、もう少し彩が欲しい気分にもなるだろう。

 足元の三菱自の経営は、いまどうなっているのか?

 2020年7月に公開された中期経営計画では、「スモール・バット・ビューティフル」の標語とともに、経営の健全化を進めることが表明されている。具体的には、すべての受益者や社会への貢献を重視すること/得意分野と収益分野への選択と集中だ。

 三菱自は、かつてのリコール隠しや燃費偽装問題など含め、この20年間は苦難の道を歩んできた。いずれの企業も、50年、100年と歳月を経うちには様々な出来事が起こる。

 三菱自は、1970年の創業だが、三菱重工の時代から自動車製造をはじめており、1953年にはジープのノックダウン生産を行い、三菱ジープが生まれることになる。1960年には三菱500という乗用車を開発した。2年後の1962年に、軽自動車のミニカが誕生する。

 70年に及ぶかという歴史のなかで積み上げられてきた企業風土は、簡単に変わるものではない。よい面を継承しながら、直すべき点を修正するには時間を要するのである。

かつてはジープのノックダウン生産を行っていた。写真は1953年当時の三菱ジープ

 取り扱い車種を、電動車とSUVに絞り込むのは一つの出直しであり、まさにいまその基盤が築かれようとしている最中だろう。三菱ジープやパジェロの4輪駆動技術はSUVのなかに生きており、また業界の先駆けとして2009年に量産電気自動車のi‐MiEVを発売したことが、今日の支えとなっている。

 アウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVの電気駆動系は、軽自動車のi‐MiEVを基本としている。この電動化の道筋は、三菱自の大きな財産だ。

 というのも、エンジン車のみであったら、軽自動車の技術を大柄なSUVに活かすことは難しい。そもそも動力としての要求出力が異なる。ところがモーターであれば、電圧や電流を上げれば出力は自在であり、上記のようなことができる。三菱自の技術者でさえ、それは発見だったと語るほどだ。

 三菱自が歩んできた4輪駆動と電動化という技術開発が、単に目先の儲けを追うだけでない真摯なものであった証でもあり、それが苦難からの扉を開いたといえる。

 EVに関しては、日産が一年遅れでリーフを発売し、すでに2代目へモデルチェンジも済ませ、世界累計50万台という大きな実績を築き上げた。

 一方で、2019年の東京モーターショーで公開したIMkは、日産初の軽自動車でのEVであり、軽EVとしてどのような性能や装備であるべきかおいては、三菱自が助言できる点も多いだろう。技術開発だけでなく、経営における企業提携にも、日産との関係は吉と出たのではないか。

 そこに将来の光明を見ることができそうだ。

■新型RVRにパジェロ復活の可能性 三菱の今後はどうなる?

次期RVRがPHEVとしてデビューする可能性も十分に考えられる

 この先の商品展開はどのようになっていくだろう。

 まず公表されたのは、アウトランダーのフルモデルチェンジである。2021年2月に、発表される。北米(アメリカとカナダ)とプエルトリコを皮切りに、順次グローバルに展開されるという。SUVであるとともに、電動化された車種となるに違いない。

 そのほかについては、加藤隆雄代表取締役CEOにインタビューした際の話によると、RVRの行方も検討を続けているとのことであった。2本の柱という三菱の方向性からすれば、より身近なSUVであるとともに、少なくともPHEVという電動化の中でRVRの将来像が考えられていくのではないか。

 パジェロについても、復活の可能性がゼロではないようだ。ただし、いつ、どのようなかたちでという具体的な話はない。

 それでも、三菱自を代表し、また象徴してきた本格的4輪駆動車であり、しかもモーター駆動はエンジンに比べ1/100速い制御と、1000倍もの精密な制御が可能になり、悪路走破性という点においてエンジン車をはるかに超える能力を発揮できる潜在性がある。

 パリ~ダカール・ラリーを2度制覇した増岡浩は、アウトランダーPHEVでASEANでのラリーに参戦してもおり、極限を知る男の知見は深いはずだ。

 三菱自は、2019年から電動ドライブハウスやステーションの取り組みをはじめている。これは、電動車と家をつなぎ、電力の供給を行う仕組みだ。その手続きや技術など、三菱自の販売店を拠点に展開している。自然災害が甚大化している今日、電動車であることが暮らしを支える基盤にもなってきている。

 また、三菱自が得意とする4輪駆動とSUVであれば、未舗装路でも移動を実現することができる。この点も、三菱自が近年歩んできた開発や商品が、未来の扉を開くきっかけになっている。

 新車を次々に発表する派手さはなくても、いまの三菱自の取り組みは、暮らしに直結した安心をもたらすクルマの提供につながっている。実は、目を離せない自動車メーカーのひとつだと思う。

【画像ギャラリー】三菱自動車を支える主力車種たち

最新号

ベストカー最新号

【スクープ】早くも情報入手! 2022年の新車大特集 |ベストカー2月10日号

 早くも2022年に出る新車情報を捕捉! 「ベストカー」2月10日号が、本日発売。  前号では2021年の新車スクープカレンダーをお届けしましたが、今号では早くも2022年に登場予定の多くの新型車の情報をお届けします。年始号恒例の翌年の新車…

カタログ