「ランサーエボリューション」や「パジェロ」など名門車の相次ぐ生産終了と待望の新車投入計画。岐路に立つ三菱の現状と今後は?
登録車のフルモデルチェンジ車/新規モデルの投入は、2018年のエクリプスクロスに遡るいっぽう、軽自動車ではeKスペース/eKクロス スペースで日本カーオブザイヤーの部門賞にも輝いた2020年の三菱。その今後を、現在の商品=クルマや技術から占う。
文/御堀直嗣
写真/三菱自動車
■新車は控え目でも着実? 三菱の現状は
三菱自動車工業が今年発表・発売した新車は、軽自動車のeKスペース/eKクロススペースと、エクリプスクロスPHEVだ。
eKスペース/eKクロススペースは、日産自動車との協業によるNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)で開発されており、開発の中心となったのは日産で、三菱自は生産を担う。
エクリプスクロスは、一昨年発売され、当時は1.5Lのガソリンターボ車のみであったが、これにプラグインハイブリッド車(PHEV)を追加したことになる。あわせて、外観などのマイナーチェンジを施した。発売2年目での追加車種と、改良となり、順当な進化ということができるだろう。
ほかに、2019年はデリカD:5が外観を大きく変えるマイナーチェンジを行っており、動力をクリーンディーゼルに絞る統合も実施している。外観の変更は主にフロントグリル周りで、ほかの三菱車に通じるダイナミックシールドと呼ばれる造形の統一感がもたらされ、フルモデルチェンジかと思えるほどの変貌を遂げた。
クリーンディーゼルエンジンは、出力のみならず、振動・騒音といった快適性も大きく改善され、日常だけでなく長距離移動でも乗り味を楽しめるミニバンとなった。ミニバンで唯一本格的4輪駆動である点も、三菱らしい商品性を備えた一台だ。
三菱自らしいという理由は、現在、三菱は商品体系を電動化とSUV(スポーツ多目的車)の2本柱とする経営を進めている。それを体現した商品構成になっているからだ。
エクリプスクロスは、アウトランダーとともにSUVであり、デリカD:5はミニバンとはいえパジェロ譲りの4輪駆動性能を誇る。
また、エクリプスクロスとアウトランダーはともに、PHEVを選択肢に持ち、電動化の方針にも合致する。また衝突安全性能を高めるため登録車となったEVのi‐MiEVも、販売が継続されている。軽自動車のeKスペース/eKクロススペースはマイルドハイブリッドであるから、電動化の路線を外していない。そして将来的に、日産との協業の中で軽EVも登場するはずだ。
派手さはないが、三菱は着実に商品構成を整えながら事業を進めている様子を知ることができる。
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