■高いリセールバリューが人気を加速させている
4系列店間の競争が激しくなっているのも、売り上げ台数が伸びる要因になっている。
トヨペット店は、これまで専売店として販売していたので多数の代替え母体を保有しており、トップの販売実績で臨んでいる。おそらく1万台のうち3分の1以上の月販3500台ペースで売っていると思われる。
あとの6500台はトヨタ店、カローラ店、ネッツ店がほぼ同じ規模で販売していると推定される。
トヨタ店は2020年4月まではラグジュアリーSUVの『ランドクルーザー』『ランドクルーザープラド』の専売であり、カローラ店とネッツ店はどちらも2019年4月10日に復帰発売した現行『RAV4』を併売していた。
どちらもその周辺ユーザーがハリアーの代替え母体となっているので、ある程度の販売台数を稼げる環境にあるといえる。
また、ハリアーは「ハイクオリティな上級SUVで街乗りのクロスオーバー車のコンセプト」としている。車両本体価格は299万~504万円の設定である。同クラスの競合車はマツダ『CX-5』&『CX-8』、ホンダ『CR-V』、スバル『フォレスター』などが挙げられるが、価格帯から見ても格下で、直接の競合車とはいえないことも強みとなっている。
ほぼ同じパワーユニットを搭載しているのは同じトヨタの『RAV4』があるが、こちらは4WD主体でラフロード系のSUVであり、ハリアーの2WD中心とはあまり競合しないポジションだ。
現行ハリアーの強みのもうひとつはリセールバリューの高さである。中心グレードに50万円程度のオプション&付属品を付けて見積書を作成し、5年、3年で残価設定クレジットを組んだ時の残価は5年で40%、3年で55%程度となっている。
同クラスのほかのSUVよりも、3~5ポイント高いのである。ところが、実際に同残価設定クレジットを組んで3~5年後に無傷の状態で年間1000km走行以内であれば、その時点の査定額は残価額をさらに上回ることが見込まれるという。これも現行ハリアー人気を加速させる要因に挙げられる。
■販売の現場が語るハリアー人気のワケ
●証言:首都圏トヨペット店営業関係者
現行ハリアーは引っ張りだこの人気で、生産が追い付かず納期が大幅に延びているが、お客さんは待ってくれている。
直接競合するライバル車が存在しないのも幸いしている。ただトヨタ全系列店扱いになってからハリアー同士の競合が頻繁になり、値引き幅が拡大し、儲け幅が縮小しているのも事実である。
それでもまだ十分な収益が残っているし、リセールバリューも高いので、新車だけでなく中古車で再販する際も売りやすいメリットがある。
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